カリフォルニア州などが独自に定めていた燃費規制も廃止に向けた交渉を始める。
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米国では、2011年1月に、2016 Model Year の Light-duty vehicleのCO2排出量を250g/mile、CAFE燃費を35.5 mpg(15.1km/L)とする規制が発効した。
オバマ政権は2012年8月28日、54.5 mpg の燃費規制を正式に発表した。
Combined Cars & Trucks 燃費 mpg
2011/1規制
2012 2013 2014 2015 2016 30.1 31.1 32.2 33.8 35.5 2012/8規制
2020 2021 2022 2023 2024 2025 40.0 41.7 46.8 49.4 52.0 54.5
なお、Clean Air ActによりEPAは米国の燃費の基準を決めるが、カリフォルニア州はEPAにより適用除外(waiver)が認められており、連邦政府の燃費規制よりも厳しい基準をを決める権限を与えられている。
また、カリフォルニア州など約10州は、販売台数の一定比率を電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)など排出ガスを出さないゼロエミッション車(ZEV)にしなければならないとする「ゼロエミッション車(ZEV)規制」を採用している。
カリフォルニア州では、これまでは州内の販売台数が年産6万台以上のメーカーが対象であるが、2017年からは2万台以上が対象となった。これにより、 これまでのGM、フォード、クライスラー、トヨタ、日産、ホンダの6社に加えVW、メルセデス、BMW、ヒュンダイ・キア、マツダ、スバルが規制対象にな った。
米国の自動車業界は、連邦政府と州政府の「二重基準」の達成に苦しみ、見直しを求めていた。
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米EPAのScott Pruitt長官(7月9日に退任)は4月2日、オバマ前政権が決めた自動車の燃費規制の強化(2022~2025年型モデル)について「現実に適合しておらず、 見なすべきだ」との考え方を発表した。「Obama政権の決定は間違っている。評価のプロセスを政治的ご都合主義で短縮し、現実に即していない基準について想定し、高すぎる基準を定めた」と主張した。
カリフォルニア州のwaiverが問題になる。自動車メーカーは州によって仕様を変えられないため、トランプ政権が規制を緩和しても、賛同しない州があれば実効性が伴わない。
これについて、長官は次のように述べた。
「協調的連邦制 (cooperative federalism) は一つの州が残りの州全ての基準を決められるということではない。EPAが国の基準を設定するというのが米国にとってベストであり、EPAが基準を決めるのに際し、カリフォルニア州を含めた全ての州と協調してやっていきたい。」
2018/4/9 米EPA、燃費規制見直し表明
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米 EPAと米運輸省高速道路交通安全局(NHTSA)は8月2日、2021年以降の基準値を撤回し、新しい基準値を策定すると提案した。
一定割合のEVなどの販売を義務付けるカリフォルニア州等の「ゼロエミッション車(ZEV)規制」なども廃止を求めて各州と協議に入る。
カリフォルニア州のブラウン知事は、「トランプ氏の行いは裏切りで、米国人の健康を脅かす」と述べ、燃費規制緩和の方針に反対する声明を出した。
同州に同調する他州とともに、あらゆる法的手段を使ってトランプ政権と争う考えも示した。
連邦政府と州政府が法廷で争う形になった場合、同様の規制を課すニューヨーク州なども同調する見通しで、問題が長期化する可能性もある。
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