昭和シェルも米国の天然ガス火力発電事業に参画

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昭和シェル石油は8月24日、日本政策投資銀行との合弁会社(RS Global Capital Investment LLC)を介し、オハイオ州における天然ガス火力発電事業に参画 すると発表した。九州電力、四国電力も参画する。

各社が参画するのは、ボストンに本拠を置くAdvanced Powerの子会社 South Field Energy で、米国オハイオ州Columbiana Countyにおいて出力約1,182MWのコンバインドサイクルの天然ガス火力発電所を建設し、2021年に商業運転を開始する。発電する電力は、北米最大のPJM卸電力市場を通じて、米国北東部地域 で販売する。
燃料の天然ガスは、米国内のシェールガス田から調達する。

昭和シェルは、「中期事業戦略」においてアジア太平洋/北米地域における天然ガス火力発電への参画を掲げていて、本件はその第一歩となる。国内ガス火力発電での知見を活かして米国市場へ参画し、先鋭的なマーケットの知見を吸収して国内電力事業への還元を目指 す。

日本政策投資銀行は、日系企業の海外発電事業分野への進出を支援すると共に、電力自由化で先行する米国にて本件に参画することで、自由化市場でのファイナンスにかかる知見を獲得し、今後自由化が加速するわが国電力市場への還元を目指す。

本プロジェクトのスキームは次の通り。

出資社は次の通り。

RS Global Capital Investment 昭和シェル / 日本政策投資銀行 約27.2%
九州電力 約18.1%
四国電力 約 8.9%
(日本企業合計) 約 54.2%
Advanced Power 親会社
NH-Amundi Asset Management 韓国農協銀行の資産管理会社
PIA Investment Management 韓国の投資会社
Bechtel Development 子会社

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日本の商社や電力会社は海外の電力事業に相次いで参加している。

州電力にとっては、米国における3件目の発電事業となる。他の事業は次の通り。

事業 Birdsboro Gas-Fired Power Clean Energy Gas
立地 ペンシルバニア州 コネチカット州
運転開始 2019年 2011/7
方式 ガスタービンコンバインドサイクル ガスタービンコンバインドサイクル
出力 48.8万kW 62万kW
売電先 PJM 米国最大の卸電力市場 ISO-NE 北東部6州の卸電力市場
出資社 九州電力 11.1% (双日から)
双日   22.2%
東京ガス 33.3%
Ares EIF 33.3%
九州電力  20.25%
双日  20.25%
大阪ガス 24.30%
中国電力 16.20%
既存出資者 19%

その他地域での事業:

同社は、2030年までに海外の発電事業持分出力を500万kWへ拡大する目標を掲げている。

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四国電力にとってはカタールのRas Laffan C 発電・造水プロジェクト(5%出資)、オマーンでのBarka 3 & Sohar 2
発電プロジェクト(いずれも 7.15%出資)、チリ共和国におけるHuatacondo
太陽光発電事業(30%出資) に次ぐ5件目の海外発電事業であり、北米では初の案件となる。

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東京電力と中部電力が既存の火力発電事業等を統合して2015年4月に発足した JERAについては、下記の通り。


 2018/8/16 JERA、米国北東部での天然ガス火力発電事業への参画

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