Teslaの株式非公開化、米SECが本格調査へ

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Tesla, Inc.のCEOのElon Muskがツイッターで株式非公開化の方針を公表した情報開示の手法をめぐり、米証券取引委員会(SEC)が同社に証言や書類提出を求める召喚状を送ったことが分かった。米メディアが8月16日に一斉に報じた。

Teslaの初の量産車「モデル3」の生産が遅れており、今年4~6月期の最終赤字が7億1750万ドルとなった。前年同期の3億3640万ドルの赤字の2倍で、7四半期連続赤字となった。
取引先の部品メーカーなどに、支払い済みの代金の一部を返還するよう求めたとされ、資金繰り不安も指摘されている。

Elon Musk CEO はNew York Times のインタビューで、「過去1年は、私のキャリアのなかで、最も困難で苦痛な1年だった」と語り、「耐えがたいほどだった」と心情を明かした。

初の量産車「モデル3」の生産が遅れ、CEOは市場からの厳しい批判にさらされてきた。多忙さとプレッシャーとが、本人を追い込んでいることがうかがえると報じられている。

付記

Tesla は8月24日、株式非公開化の計画を撤回すると発表した。

Elon Musk CEO は、株式非公開化について「当初予期していたよりもはるかに時間がかかり、混乱を招くことが明らかになった」と指摘。「モデル3を普及させ、収益を改善することに注力する上で問題になる」と撤回の理由を説明した。

情報開示の手法についてSECが調査を始めているほか、「資金は確保した」というCEOの投稿内容が虚偽であるなどとして、米国では一部の投資家が訴訟を始めている。


付記  2018/9/30 Tesla のMusk CEO、米SECと和解、制裁金支払・会長退任


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Elon Muskは、投資家から四半期決算など短い期間で好業績を出すように圧力がかかることを嫌っているとされるが、8月7日に突然ツイッターで「1株当たり420ドルでTeslaを非公開にできないか考えている。資金は確保した」と発信した。

Am considering taking Tesla private at $420. Funding secured.

株式市場は一時騒然としTesla株は前日比11%高となった。

仮に1株あたり420ドル(20%のプレミアムを乗せた価格)で既存株主から全株式を買い取るとすると、総額で700億ドル(7兆7000億円)の資金が必要になる。

これについては、Elon Muskは、安定株主には非公開化の後も、特別目的ファンドをつくるなどで、株を持ち続けて欲しいとしている。

同日のツイッター:

My hope is *all* current investors remain with Tesla even if we're private.
Would create special purpose fund enabling anyone to stay with Tesla. Already do this with Fidelity's SpaceX investment.
(彼の宇宙船開発会社 SpaceX :
Space Exploration Technologies Corp.は2015年にGoogleとFidelityから10億ドルの出資を受けている。)

Shareholders could either to sell at 420 or hold shares & go private.

Elon Muskは同日、Teslaの従業員に送付したメールを公表した。

最終決定はまだだが、Teslaがうまく機能する環境作りが目的である。公開会社では、株価の変動が激しく、従業員持ち株に影響を与える。また四半期報が必要なため、長期的には望ましくなくても、短期の利益を考えるようプレッシャーを与える。空売りで儲けようとする輩が多数生まれる。

全員が長期の視点で考えるのがよい。SpaceXが良い例で、非公開のため、非常にうまくいっている。

考えているのは下記の通り。

株主は非公開の後も株を持ち続けてもよいし、420ドルで売っても良い。
従業員は株を持ち続けてほしい。
SpaceX と Teslaの統合は考えていないが、SpaceXのシステムを採用したい。
SpaceXでは外部株主と従業員はほぼ6カ月ごとに株を売ったり買ったりする機会を与えられている。
自身は約20%を持っているが、この比率を変えることは考えていない。

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場企業のトップが重要な経営事項をツイッターで明らかにするのは異例で、SECは情報開示の経緯に関心を持っているとみられる。

「資金は確保した」との発言も、サウジの政府系ファンドとの交渉 での感触によるものであることが分かり、SECの調査では発言時点での情報の真偽も焦点となるとみられる。

なお、報道によると、サウジの政府系ファンド Public Investment Fund (PIF) は、これについて協議を行っており、同社株をさらに買い増すかや、その場合の規模について確定的な結論には至っていないものの、協議は続いているという。

PIFはTesla への投資を、サウジ経済の原油依存をヘッジするための戦略的手段の一つと見なしている。

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