米国、対中関税第3弾を9月24日発動 

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トランプ米政権は9月17日、中国からの輸入品2千億ドルを対象に第3弾の制裁関税を9月24日に発動すると発表した。

家具や家電などに10%の関税を上乗せする。当初計画の25%上乗せを先延ばしにすることにより、米企業が代替サプライチェーンを探すなど対応策を講じるための時間的猶予を与える。中国が対米黒字削減や国内産業保護策の見直しなど、踏み込んだ政策変更に応じない場合、2019年以降は25%に引き上げる。

トランプ大統領は今回の追加関税について、中国の「政府からの補助金や、いくつかの産業で外国企業が地場企業と協業しなければならない規則といった中国の不公平な通商慣行」への返答だとした。

「どういう変化が必要なのか、我々は極めて明確に提示してきた。中国に対しても、米国を公平に扱うようあらゆる機会を与えてきた 。しかし今のところ、中国は自分たちの慣行を改めるつもりはないらしい」と述べた。

大統領はまた、中国が米国の農家や産業に警告通り報復した場合、米国は直ちに中国製品約2670億ドル相当を対象にする追加関税を目指すと表明した。

但し、「貿易問題は、最後は習近平主席と私の手で解決されることを望む」とも述べた。

米政権は7月6日から340億ドル、8月23日から160億ドル、合計500億ドル分に25%の制裁関税を課した。
中国はそれぞれ同日に米国産大豆などに同規模の関税を課して対抗した。

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今回の第3弾は「中国の報復に対する報復」との位置づけ。

米当局はこれまで、可能な限り消費財は関税対象から外したいと表明してきたが、今回、米通商代表部(USTR)が作成した関税の適用対象となる最終品目リストは一般消費者に身近な製品を対象とした。

スーツケースやハンドバッグ、トイレットペーパー、毛織物といった日用品が新たな関税の対象となった。

また冷凍肉、サバのくん製からホタテまでほとんど全ての魚介類、大豆、さまざまな果物類やシリアル、コメなどの食品にも追加関税がかけられた。

電子機器では、ルーターなどコンピューターのネットワーク利用に関わるものが対象となった。

第2弾までは企業向け中間財が多く、消費財の割合は1%に過ぎなかったが、今回で2割超にあがり、全米小売業協会は「米国人の生活を脅かす」との懸念を示した。

ただし、当初6000品目以上とされていた対象商品のうち、スマートウォッチや自転車用ヘルメット、ベビーサークル、ベビーチェア、乗用車のチャイルドシートなど300品目が除外されている。
三菱ケミカルの電解液原料のリチウム塩や、SUMCOのウエハー生産向け資材、タングステンなども外れたと報道されている。

当初は対象品目に多くのApple製品が含まれていた。Appleの腕時計型端末Apple Watch や無線イヤホンAirPod headphone、人工知能(AI)を備えたHomePod smart speaker、キイボードやマウスのない低価格パソコンMacMini、 タブレット端末の入力用ペン Apple Pencil、更には充電器やアダプター、iPhone や iPadの革製のカバーなどが含まれる。

これに対し、大統領は、" Make your products in the United States instead of China. Start building new plants now" とつぶやいた。

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第3弾の発動で、合計2500億ドル分となり、中国からの年間輸入総額(約5千億ドル)の半分に相当する。

中国商務省は9月18日、声明を発表し、中国は米国の追加関税に対して報復する以外の選択肢はないとし、米国が自らの行動を正すことを期待していると表明した。

既に8月3日に対応策を発表しているが、食品や衣服、医療器具、生活用品、液化天然ガスなど5207品目、600億ドルの関税措置の対象は変えず、5~25%の4段階だった関税率の上乗せ幅を5%と10%の2段階に下げると発表した。 (米国が来年に税率を引き上げた場合、中国も引き上げると思われる。) 北京時間 9月24日午後0時1分より実施する。

中国国務院関税税則委員会は8月3日、トランプ米大統領が6月18日に新たに2千億ドル相当の輸入品に10%の追加関税を検討するよう米通商代表部(USTR)に指示したと発表したのに対応し、米国からの輸入品に対する第3 弾の関税上乗せ策を実施することを発表している。

対象商品の輸入額は約600億ドルで、税率は25%、20%、10%、5%の4段階で、税率25%は2,493品目、20%は1078品目、10%は974品目、5%は662品目となっている。

追加関税の対象となるのは液化天然ガス(LNG)や、小・中型の航空機やヘリコプター、半導体、鉄鉱石、鉄鋼製品、車のフロントガラス、焙煎コーヒー豆、砂糖、チョコレート、菓子、避妊具など。

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また、高関税措置のほか、非関税措置をとると言明した。米企業の許認可を遅らせるなどの措置になる可能性がある。「どんな措置かは、適切な時期に公表する」としている。 

米国企業が必要とする中国製の基幹部品の輸出を規制したり、中国に進出している米企業に対し税務調査や事業認可棚上げなどを行うのではと取りざたされている。

中国の問題は米国からの輸入が1300億ドルしかないことで、米国の追加関税対象が2500億ドルとなり、更に残り約2670億ドル相当に追加課税するとしているのに対し、報復関税は第三弾までで1100ドルとなり、残りは200億ドルしかない。今回、600億ドル相当の追加関税に加え、非関税措置を取る。

米中両政府による閣僚級協議では、中国の劉鶴副首相らが9月27~28日にワシントンを訪問し、Mnuchin米財務長官らと会談する開く方向で調整を進めており、閣僚協議に向けた事前調整を数日内に本格化させる予定だった。

しかし、今回の米国の発表をうけ、中止になる可能性が強い。

仮に閣僚級協議を開催しても、中国としては、LNGや大豆の輸入拡大で対米黒字を減らすことは出来るが、Trump の要求する「Made In China 2025計画」の取り下げは中国の将来のためにも、メンツからも応じる筈がなく、問題の解決は難しい。


トランプ大統領はツイッターへの投稿で、中国が、11月6日の米中間選挙を控え、貿易を通じて大統領の支持基盤の弱体化を狙っているとの的外れの非難を行った。これら労働者層をターゲットとするなら「われわれは中国に対し、重大な経済的報復を迅速に実施する」としている。

China has openly stated that they are actively trying to impact and change our election by attacking our farmers, ranchers and industrial workers because of their loyalty to me.
What China does not understand is that these people are great patriots and fully understand that.....

.....China has been taking advantage of the United States on Trade for many years.
They also know that I am the one that knows how to stop it.
There will be great and fast economic retaliation against China if our farmers, ranchers and/or industrial workers are targeted!



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