韓国のKCCほか、シリコーン事業のMomentive Performance Materialsを買収

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Momentive Performance Materials (MPM Holdings Inc.)は9月13日、韓国のグループとの間で同社を31億ドル(負債、年金以外の退職後給付込み)で売却する契約を締結したと発表した。

売却先と出資比率は次の通り。

SJL Partners(Private Equity Fund 運用会社)50%
KCC Corporation(
建築資材、シリコーンメーカー)45%
Wonik QnC Corp 半導体原料・設備メーカー) 5%

Momentive Performance Materials は元GE Advanced Materials で、シリコーン、石英、セラミックのメーカー。

GEは2006年9月、シリコーン事業のGE Advanced MaterialsをApollo Management, L.P. に38億ドルで売却すると発表した。

GEは1971年に東芝と設立したGE Toshiba Silicones、1998年にBayerと設立したGE Bayer Silicones の2つのJVを持つが、両社からJV持分を買い取ってGE 100%とした上で、本体とともにApollo に売却する。

2006年12月、GE Advanced Materials は Momentive Performance Materials となった。

2006/9/21 GE、シリコーン事業を売却

なお、Momentiveは2014年4月に資金繰りに困り、Chapter 11を申請した。(同年10月に約30億ドルの債務免除を受け、Chapter 11 から離脱した。)

2014/4/19 シリコーン事業のMomentive Performance Materials、Chapter 11 申請

同社は75年の歴史を持ち、世界で24の生産拠点、12の研究開発センターを持つ。Dow Corning、Wacker Chemie とともに世界3大シリコーン・石英・セラミック企業に挙げられる。

今回、世界規模のシリコーン事業を目指す KCCと、石英・セラミック事業の買収機会を求めていたWonik QnC がSJL Partnersを通じて手を組んだ。Goldman Sachsが売却主幹事を務めた。

買収により、KCCは一気に基本技術を保有する世界2位のシリコーンメーカーに躍進、韓国最大手の石英・セラミックメーカーのWonik QnC は世界1位に跳躍する。

KCCは、現代グループ創業者の鄭周永の一番下の弟の鄭相永が、兄の留学指示を無視し、1958年に金剛スレート工業を設立した。
ペイントと建築材分野で業界最高であったが、創業者が「幅広い需要分野を持つシリコーンがKCCを生き残らす」 と考え、これに注力した。10年余りの研究の末に独自開発に成功し、2004年に年間3万トンを生産、その後拡大した。

  現在の扱い製品は次の通り:

建材:板ガラスをはじめグラスウールやロックウールなどの繊維系断熱材、石膏ボード、塩ビサッシや床材、化粧シートなど
塗料:建築用、工業用、船舶用、自動車用の塗料
素材:各種シリコーン製品、アルミナセラミック製品、エポキシ系の半導体封止材、その他自動車や電子電機向けの素材

Wonik QnC は、半導体、情報通信、金融部門を主力事業とするWonik(円益グループの一員で、半導体部門で石英事業を担当する。

半導体部門は、 革新的な技術と力量を持った韓国半導体産業の先頭走者と謳い、 Wonik QnCの他に、半導体前工程のWonik IPS、高純度特殊ガスのWonik Materials、高温熱処理及びCVD装備のWonik Tera Semicaon、Gas C-PuriflerのWonik Holdingsがある。

SJL Partners はPrivate Equity Fund 運用会社で、韓国CVC Capital の会長だったSteve Suk Jung Limが設立し、会長をしている。

主な投資先には、韓国のバイオシミラー医薬品メーカーのCelltrion Holdings、韓国のファッションブランドや靴のVigevanoがある。

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