住友金属鉱山と住友商事、アラスカの金鉱山権益を売却 

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住友金属鉱山と住友商事は8月30日、豪州大手の産金会社Northern Star Resources Limitedに、アラスカのPogo金鉱山の権益を全て譲渡すると発表した。

Pogo金鉱山は、アラスカ州で2006年から操業し、2009年からは住友金属鉱山がオペレータを務めてきた。

 Pogo金鉱山概要:

1)位置:米国アラスカ州フェアバンクスの南東約145キロ

2)権益比率:住友金属鉱山アメリカ社(住友金属鉱山100%子会社) 51%→85%
       Teck Resources 40%→ 0
       SC Minerals America(住友商事100%子会社) 9%→15%
         2009年4月以降、出資比率変更

3)埋蔵金量:109t(2008年末鉱量計算結果)
4)年間生産金量:11~12t/年
5)開発投資額:約378百万ドル(出資比率で負担)

採掘後、選鉱→青化浸出→電解採取を経てドーレ(金品位約94%、銀品位約6%)として回収している。

住友金属鉱山はPogo金鉱山で採掘できる金の量が残り少ないと見積もっており、操業効率の改善も難しいことから早期の撤退を決めた。

2017年の産出量は8.4トンで、2017年末の採掘可能な量を24トンと見ている。

豪州で多くの坑内掘り金鉱山を操業するNorthern Star に、住友商事の保有する権益15%と併せて100%の権益を譲渡し、Pogo金鉱山のすべての資産と債務を引継ぐ。

Pogo金鉱山の譲渡に係る対価は総額260百万米ドル(100%)で、必要な許認可の取得を前提として2018年10月の譲渡完了を予定している。

住友金属鉱山は日本で菱刈鉱山(鹿児島県伊佐市)を操業しており、海外では2021年から生産開始予定のカナダ南東部のCote金開発プロジェクトに27.75%出資している。

2017/6/8 住友金属鉱山、カナダの金開発の権益取得 

長期的に金の年間生産量30トンを目指しており、Pogo金鉱山の譲渡で一時的に年産量は6トン程度にまで落ちるが、引き続き金事業に注力していく。

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Pogo金鉱山は住友金属鉱山の海外での初の主導的な開発プロジェクトで、1991年に探鉱を開始、1997年にTech Resources と提携し、探鉱及び企業化調査を進めた。

Teck Resources はカナダの資源大手で、石炭・銅・鉛・亜鉛・モリブデン・金を扱っており、亜鉛では世界最大級、原料炭の海上輸送シェアは世界2位。

同社は1913年に金鉱山生産のため設立されたTeck-Hughes Gold Mines と、銀・亜鉛・鉛鉱山開発を主体とした1906年設立のComincoが2001年に合併してできた。(当初名はTeck Cominco)

2008年には石炭事業のJVパートナーである
Fording Canadian Coal Trustを98億ドルで買収して石炭資産を拡大した。

Teck のFording Canadian Coal 買収後、コモディティの価格は暴落し、カナダ経済も不況に陥った。

Teck は2009年初めには借入金の一部の支払猶予を受けたが、借入金返済のため、資産売却、コストカットを行っている。

この一環として金資産のJV権益の売却を進めており、カナダの金鉱山の権益を2008年にJV相手のBarrick Goldに売却、2009年4月にはアラスカのPogo鉱山の権益をJVパートナーの住友金属鉱山2億4500万米ドルで売却した。

中国投資有限責任公司(CIC) は2009年7月3日、100%子会社の Fullbloom Investment Corporation を通じて、資金難のTeck Resources Limited の株17.2%を現金15億米ドルで購入することで合意したと発表した。CICは2017年9月に持株17.2%のうちの4割を売却した。

2009/7/14 中国政府系ファンドCIC、カナダの資源大手に出資

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