中国、輸出増価税リベートを拡大

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中国財政省は9月5日、财税〔2018〕93号で、輸出企業への輸出増価税リベートを拡大すると発表した。

米国との貿易戦争で輸出企業が打撃を受けており経営を下支えする狙いがある。エレクトロケミカル製品や文化関係等としているが、金属や半導体関連など397品目を対象に還付額を上げる。

具体的には、マルチエレメント集積回路、非電磁干渉フィルター、本、新聞などの輸出税還付率は16%に引き上げる。

竹製彫刻、木製扇子などは13%に引き上げられる。

バサルト繊維とその製品、安全ピン、その他の製品は9%に引き上げる。

実施は9月15日で、製品別の還付率引き上げの詳細は、 提高出口退税率的产品清单.xlsx を参照。

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輸出増値税リベートとは輸出製品の購入の際の増値税、輸出製品の製造のための原料やサービスの購入時の増値税を払い戻すもの。

中国では財、サービスの販売時と輸入時には原則16%の増値税(付加価値税)がかかる。(下記参照)

製品販売者は製品の販売にかかわる増値税とその購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増値税との差額を納付する。(日本の消費税の仕組みと同じ)

製品の輸出に関しては増値税は免除される。その製品の購入又は製造にかかわる原料サービスの購入の代価に含まれる増値税に関しては、(日本では全額控除されるが)、中国では政策的にその全部又は一部がリベートとして払い戻される。

リベート率13%とは購入代価に含まれる16%(一般品)の増値税のうち13%相当分を払い戻すことになる。残りは輸出業者の負担となる。

リベート率16%のものは、購入代価に含まれる増価税を全額払い戻すもの。

中国では、輸出抑制や輸出促進などの政策上、特定の製品について輸出増値税リベートの変更が時々行われる。

2006/9/26   中国、輸出増値税リベート変更

2007/6/28 中国、輸出抑制のため輸出増値税還付率を引き下げ

2008/10/27 中国、一部商品で輸出増値税の還付率引き上げ

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なお、増価税率はこれまで17%であった。

中国は、2018年3月28日の国務院常務会議で増値税(付加価値税)制度改革を深化させる措置を決め、5月1日から増値税税率の軽減と小規模納税者基準の緩和が決定された。

製造業は17%から16%に、運輸・交通や建築は11%から10%にそれぞれ下げた。
増値税の税率は17、11、6%の3段階から16、10、3%になった。

課税対象

現行

改正後

製造業

貨物の販売、貨物の輸入 (下記の軽減税率適用品以外)

役務 (加工、修理整備役務)

有形動産リースサービス

17%

16%

運輸・交通・建築


特例

交通運輸、郵政、基礎電信、建設、不動産リースのサービス、不動産の販売、土地使用権の譲渡

下記の貨物の販売または輸入

穀物等農産品・食用植物由、食用塩

水道・暖房ガス・冷房ガス・熱水・石炭ガス・石油液化ガス・天然ガス・ジメチルエーテル・メタンガス・居住用石炭製品

図書・新聞・雑誌・音像製品・電子出版物

飼料・化学肥料・農薬・農機・農業用フィルム

その他

11%

10%

その他

上記以外のサービスの販売

無形資産の販売

6%

6%

輸出

貨物の輸出

0%

0%

2018/5/12  中国、付加価値税率を引き下げ、ハイテク産業向け減税も 

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