欧州中銀、債券買い入れを年末で終了

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欧州中央銀行(ECB)は9月13日の理事会で、毎月の債券買い入れ額を10月から月150億ユーロに半減させること、債券買い入れ策を年末までに終了させ、少なくとも来年夏までは金利を過去最低水準にとどめる ことを決めた。

マリオ・ドラギ総裁は記者会見で「債券買い入れ策の終了は、われわれの金融政策が緩和的でなくなるという意味ではない」とし、低金利とフォワードガイダンス(金融政策の先行きの手掛かり)を長期にわたって現行水準に維持する方針を示した。


これまでの債券買い入れの推移と、ユーロ圏消費者物価の推移は下記の通り。

ECBは2015年1月22日、定例理事会を開き、ユーロ加盟国の国債などを購入し、資金を大量に金融市場に供給する「量的緩和政策」の導入を決めた。

ユーロ圏は物価が下落し続けるデフレの懸念が強まっており、量的緩和はこれを払拭する狙いで、量的緩和の導入は1998年のECB創設以来初めて。

量的緩和政策の概要は下記の通り。

1) 2015年3月から2016年9月末まで、毎月 600億ユーロ、総額1兆1400億ユーロの金融資産を買い取る。

2) ユーロ圏の全加盟国の残存期間2~30年の国債を購入対象とする。購入はECBへの出資比率に応じて行う。

3) 購入した国債の信用が低下し、国債価格が急落して、ECBに損失が生じた場合、
損失の2割は全加盟国で分担
残る8割は、国債を発行した国の中銀が負担。

2016年4月、買い入れ規模を当初の月600億ユーロから月800億ユーロに増額した。

当初案では量的緩和は2016年9月末までとなっていたが、ECBは2016年9月8日、3つの政策金利の据え置きと量的緩和(QE)プログラムの現状維持を発表した。

主要政策金利であるリファイナンスオペの最低応札金利を0.00%で据え置く
下限政策金利である中銀預金金利はマイナス0.4%、上限政策金利の限界貸出金利は0.25%で維持した。

ECBは2016年3月10日、追加緩和で -0.4%に引き下げた。

資産購入規模は月額800億ユーロの現状を維持し、少なくとも 2017年3月まで実施し、必要に応じその後も継続すると確認した。

2016/12/14 欧州中銀、量的緩和の規模を縮小、実施期間は延長 

ECBは2016年12月に以下を決定した。

1) 資産購入プログラムの期間を2017年12月末までに延期

2) 月額の購入額を2017年4月以降600億ユーロへ減額

2017年10月に以下を決定した。

1) 資産購入プログラムの期間を2018年9月末までに延期

2) 月額の購入額を2018年1月以降300億ユーロへ減額

2018年6月14日に以下を決定した。

前回、2018年9月末が期限としていたが、10月以降は新規購入額を150億ユーロに減らし、年末で打ち切る。
すでに保有している国債については満期を迎えた分を再投資に回して当面は残高を維持する。

今回、量的緩和策について、6月時点の発表通り年内に終わらせる。

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米国は既に2014年11月には債券買い入れをゼロとし、FF金利を何度も引き上げている。


残るのは日本だけとなった。

日銀は9月18-19日に開いた金融政策決定会合で、短期金利をマイナス 0.1%、長期金利をゼロ%程度とする長短金利操作(yield curve control)付き量的・質的金融緩和政策の現状維持を賛成多数で決定した。

長期国債の買い入れ額についても、保有残高の年間増加額を「80兆円をめど」としつつ、「弾力的な買い入れ」を継続する。

黒田総裁は、安倍首相が触れた緩和の「出口」について、「あくまで2%を達成してから」と述べた。

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