アスベスト訴訟控訴審、再び 原告全面勝訴

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建設資材に含まれるアスベスト(石綿)で健康被害を受けたとして、近畿・四国の元建設作業員と遺族33人が国と建材メーカー22社に7億1200万円の賠償を求めた訴訟の控訴審 で、大阪高裁は9月20日、国の責任だけを認めた2016年1月の一審・大阪地裁判決を変更し、メーカーの責任も認定、計3億3900万円の賠償を命じた。

高裁判決は国の責任について、1975年以降に防じんマスクなどの措置を義務づけなかったと指摘し、さらに石綿を含む建材の製造を禁じる措置などを取るべき時期を一審判決より4年早い1991年とし、国の賠償責任の割合を一連の訴訟で初めて1/3 から1/2に引き上げた。

メーカーの責任についても、1975年以降に建材に警告表示をしなかったとして、当時市場のシェアが高かった8社に賠償を命じた。

「一人親方」についても、労働安全衛生法上の保護対象ではないが、国の違法行為があれば保護されるべきだと判断した。

建設アスベスト訴訟判決はこれで11件目。

国は、2012年5月の横浜地裁が原告の請求を全て棄却したのを除き、全て敗訴で、今回で10連敗となる。

メーカーについて責任を認めたのは、今回が5回目。一人親方を補償対象としたのは今回が3回目となる。

原告全面勝訴は、今回を含めいずれも高裁判決で、今回が2件目となる。

これまでの判決 2018/9/5 建設石綿訴訟の控訴審、原告全面勝訴 


全国で起こされている「建設アスベスト訴訟」で高裁判決は4件目 で、連続して原告全面勝訴となった。

国の責任 メーカーの責任 一人親方への責任
東京高裁 2017/10 X 労働関係法令が保護対象とする「労働者」でない。
東京高裁 2018/3 X 因果関係不明 〇 建設現場で労働者とともに作業に従事
大阪高裁 2018/8 〇 労働者以外の保護を念頭に置いた規定あり
大阪高裁 2018/9 〇 国の違法行為があれば保護


今回の判決と、1審の大阪地裁判決の概要は次の通り。

判決 一人
親方
メーカー
大阪地裁 2016/1 X X 国の責任を一部認める。
原告14人に計9746万円

国は遅くとも1975年には、石綿吹き付けなどに従事した作業員が石綿関連疾患を患う危険性を認識できた。
国は1975年時点で、事業者に対して労働者に防じんマスクを使用させるべき義務を明示的に定めるべきだった。

(メーカー)被害者が実際に扱った石綿建材を具体的に特定するものではない。

(一人親方)労働関係法令の保護対象ではない

2016/1/27 建設アスベスト訴訟で国が3度目の敗訴

大阪高裁 2018/9/20 国の責任に加え、メーカーの責任も新たに認定し、「一人親方」への国の責任も認定
国とメーカー8社に計約3億3900万円の支払いを命じた。(大幅に増額)

国が1975年10月から防じんマスクの着用や警告表示を義務付けなかったこと、1991年末までに石綿を含む建材の製造を禁止しなかったことを違法と判断。

国の賠償責任の割合を一連の訴訟で初めて1/3から1/2に引き上げ。

(メーカー)建材の販売シェア率10%を基準にし、ニチアスなど8社の責任を認めた。

(一人親方) 労働安全衛生法上の保護対象ではないが、国の違法行為があれば保護されるべきだと判断

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