米司法省は10月3日、日本ケミコンが電解コンデンサのカルテルで司法取引に応じたと発表した。
日本ケミコンはこれまでの電解コンデンサカルテルでは最大の罰金60百万ドルを支払う。また5年間の保護観察となり、その間、コンプライアンス計画を実行し、毎年その報告を行うことを義務付けられた。
同社の社員4名が起訴された。
同社は他社と共謀し、2001/11~2014/1の期間、電解コンデンサの競争を阻害したとされた。
これで電解コンデンサカルテルで合計8社と個人10名が起訴された。8社は全て罪を認め、合計150百万ドル以上の罰金支払いに応じた。
個人10名のうち、2名は罪を認め、それぞれ禁固刑(1年と1日)となっている。
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電解コンデンサカルテルでは、2015年9月2日に NEC TOKIN が罪を認め、13.8百万ドルの罰金を支払うことで合意した。
司法省はその前の2015年3月に日本のコンデンサメーカー(Company A とし、社名を明らかにしていない)の1名を起訴したと発表している。
司法省は2016年4月27日、日立化成が司法取引を行ったと発表した。この時点では司法省と日立化成ともに、罰金額については明らかにしなかったが、後の司法省の発表では 3.8百万ドルとなっている。
2016/4/30 日立化成、コンデンサ事業でのカルテルで米国司法省と司法取引
日立化成エレクトロニクスは2010年に、三春工場のタンタル・ニオブコンデンサ事業を台湾の禾伸堂企業股份有限公司(Holy Stone Enterprise Co., Ltd. )に売却した。
(Holy Stoneはその後2014年に、これを米国のVishay Intertechnologyの子会社ビシェイポリテックに売却した。)
司法省は2016年12月に3名を起訴したと発表した。Company Aの2名、Company Dの1名としている。
2017年2月に松尾電機が司法取引に応じた。罰金額は明らかにしていない。同社の1名が罪を認めた(禁固1年と1日)。
2017年7月にニチコンが司法取引に応じ、罰金 42百万ドルを支払った。(同社は別途、需要家に和解金として21.5百万ドルを支払うことで合意)
今回の日本ケミコンが8社目となる。個人の起訴は10人目となる。
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コンデンサー業界は日本のほか、中国、台湾、米国、韓国、欧州でカルテルの調査を受けている。中国以外で全て有罪となった。
2015/12/15 台湾、日系などのコンデンサーメーカーの価格カルテルに多額の課徴金
2016/4/2 公取委、コンデンサーメーカーに課徴金納付命令
2018/3/30 EU、コンデンサーカルテルで制裁金
2015/10/3 韓国公取委、日本のコンデンサーメーカーの価格カルテル調査
韓国公取委は2018年9月16日、日本のコンデンサー製造・販売企業9社が、アルミニウム・タンタルコンデンサーの供給価格を共同で引き上げまたは維持することで合意していた行為を摘発し、是正命令と共に課徴金360億ウォン(36億円)を賦課したと発表した。
制裁を受けた日本企業は、
アルミニウムコンデンサーではニチコン、三洋電気(現 パナソニック)、エルナー、日立化成エレクトロニクス、ルビコン、日本ケミコンの6社。
タンタルコンデンサーは、ニチコン、三洋電気、エルナー、日立化成エレクトロニクス、トーキン、松尾電気、ビシェイポリテックの7社。
公取委は、ビシェイポリテック、松尾電気、エルナー、日本ケミコンの4法人と日本ケミコン所属の職員1人を検察に告発した。
企業側発表の課徴金:
日立化成:2,012百万ウォン
松尾電機:1,840百万ウォン
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