経済スパイと企業秘密窃の共謀と実行の4つの罪状で起訴された。
逮捕されたのは江蘇省の国家安全省第六處副處長の徐燕軍(Yanjun Xu)被告で、4月1日にベルギーで拘束され、10月9日に米国に身柄が引き渡され、逮捕された。
起訴状によると、Xu被告は2013年12月頃から 逮捕されるまで、米国内外の航空業界のリーダーと見られる複数の航空会社(GE Aviationを含む)をターゲットとして活動。企業に勤務する専門家ら をリクルートし、当初は大学での講演などの名目で中国へ招待し、費用や報酬を払っていたという。
GE AviationはBoeing やAirbus にエンジンを供給しているが、現在、商業機や軍のヘリコプターの新世代エンジンを開発している。1年以上前から捜査が行われ、GE Aviation はFBIに協力してきたという。
南京航空航天大学(中国の産業情報部が設立)と密接に連絡を取っていた。
GE Aviationは徐燕軍のターゲットの一つで、同社を退職したエンジニアが2017年3月以降、南京航空航天大学にしばしばE-Mailを送っていた。
徐燕軍の支援のもと、そのエンジニアは南京航空航天大学で講演を行った。徐燕軍は旅費や報酬3500ドルを支払った。
その後、徐燕軍は重要な情報の提供を求めた。エンジニアは本年2月にファイルを送付、その後、徐燕軍は多くの質問を送った。
2月末に徐燕軍は欧州で会うことを求め、その時に情報を持参することを要求した。
徐燕軍は3月末にエンジニアと会うため、渡欧した。
これらは全て、FBIの監視下で進んだ。政府は4月1日にベルギーで彼を逮捕することを決めた。
関連して、9月末にシカゴに居住する中国人 季超群 が逮捕されている。中国の情報員に密かに協力し、米国の技術者や科学者をリクルートするのを助けたという。このうち7人は防衛関係のコントラクターの従業員で、全員が台湾か中国生まれで米国籍を持つという。
他国の現役の情報部員を逮捕するためには、十分な証拠を揃えていると思われる。
米国の司法当局にはベルギーでの逮捕権はないため、米国とベルギーの司法当局が十分打ち合わせた上のものであろう。
ベルギーがどんな罪状で逮捕できたのか、不明。
拘束から引き渡し(犯罪人引渡協定によると思われる)までに半年かかった理由も不明である。被告側の異議で時間がかかったと思われる。
John Demers 司法次官補(国家安全保障担当)は次のように述べている。
中国の情報部員が米国の航空宇宙企業から事業秘密とその他のセンシティブな情報を盗もうとした。これは単独の事件ではなく、米国を犠牲にして中国を発展させようとする広範な経済政策の一環である。我々は他国が我々の軍事力、我々の頭脳の成果を盗むのは我慢できない。
FBIの Priestap副長官は、「今回の中国情報部員の前例のない引き渡しで、中国政府が米国への経済スパイを直接監督していることが明らかになった」と述べた。
中国大使館や同被告の弁護士からのコメントは得られていない。
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