日揮は10月19日、再生可能エネルギーによる水の電気分解で製造した水素を原料とするアンモニアの合成、および合成したアンモニアを燃料としたガスタービンによる発電に成功したと発表した。
再生可能エネルギーを活用した水素ならびにアンモニアの製造とこれを燃料とした発電は世界で初めて。
日揮と産業技術総合研究所は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム「エネルギーキャリア」のもと、2014年から『新規アンモニア合成触媒および再生可能エネルギーによる水の電気分解で得られた水素を原料としたアンモニア合成プロセス』の研究開発を進めてきた。
本年5月には産業技術総合研究所、沼津工業高等専門学校、および日揮触媒化成と共同で、触媒に使用する担体や触媒の製造方法を改良することにより、低温・低圧下で効率的にアンモニアを合成できる新たなルテニウム触媒の開発に成功し た。
実証試験を通じて、新たに開発した触媒が低温・低圧で高い活性を有することを確認するとともに、再生可能エネルギーの使用時に課題となる急な運転条件の変更によるアンモニア製造量の変動に対応できることが検証できた。
このたび、太陽光発電設備で発電した電力による水の電気分解を通じて製造した水素を用いてアンモニアの合成試験を行い、合成したアンモニアを燃料にガスタービンによる発電試験(発電量47kW)を実施した。
再生可能エネルギーの有効利用のため、水を電気分解して水素を製造する方法の開発が期待されている。水素エネルギーを本格的に活用していくためには、安全性やコストをはじめ、輸送・貯蔵の効率性等が課題であり、水素をアンモニアや液化水素、有機ハイドライド等のエネルギーキャリアに転換する必要があ る。
なかでも成分中に水素を多く含むアンモニアは、液化が容易で、アンモニアのまま直接燃焼させることが可能であり、また燃焼時にCO2を排出しない特徴を持つだけでなく、肥料原料などにも広く利用されており、既にサプライチェーンが確立されていることから、水素のエネルギーキャリアとして優位性がある。
これまでの「ハーバー・ボッシュ法」でのアンモニア製造と比較し、下記の特徴がある。
ハーバー・ボッシュ法 今回の方法 水素製造時 大量のCO2を排出 排出せず 合成反応 高温高圧 低温低圧
従来法の触媒は非効率→新触媒開発問題点 天然ガス価格で経済性が変化 再生エネのため水素製造量が変動
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