ドイツ西部、ヘッセン(Hesse) 州で10月28日実施された州議会選挙で、メルケル首相率いる与党 キリスト教民主同盟(CDU)が得票率を大きく落とした。
第1党の座は確保するが、前回2013年よりも11ポイント強低い27.4 %と52年ぶりの低水準に落ち込んだ。
国政でCDUと大連立政権を組むドイツ社会民主党(SPD)も11.1ポイント低い19.6%と、歴史的な大敗になった。
州議会で連立を組む「緑の党」が頑張り、議席数では合計でなんとか過半数を超えた。
逆に、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が大躍進し、初議席(17議席)を確保した。
投票率 | 議席 | |||||
今回 | 前回 | 増減 | 今回 | 前回 | 増減 | |
キリスト教民主同盟 (CDU) | 27.4% | 38.3% | -10.9% | 36 | 47 | -11 |
緑の党 | 19.5% | 11.1% | +8.4% | 25 | 14 | 11 |
(州議会 連立) | (46.9%) | (49.4%) | (-2.5%) | (61) 50.4% |
(61) 55.5% |
(0) -5.1% |
社会民主党 (SPD) 国政で連立 | 19.6% | 30.7% | -11.1% | 25 | 37 | -12 |
ドイツのための選択肢 (AfD 極右) | 13.0% | 4.1% | +8.9% | 初議席 17 | 0 | 17 |
自由民主党 (FDP) | 7.8% | 5.0% | +2.8% | 10 | 6 | 4 |
左翼党 | 6.0% | 5.2% | +0.8% | 8 | 6 | 2 |
その他 | 6.7% | 5.6% | +1.1% | - | - | - |
合計 | 100% | 100% | - | 121 | 110 | 11 |
ヘッセン州議会の定数は110であるが、超過議席(overhang seat)制度で今回は121議席となった。
まず、小選挙区での当選者が決まる。ある党の当選者が20とする。
別途、比例代表の結果、その党に割り当てられた議席数が22とすると、その党の当選者は2名が追加される。
10月14日に実施された保守の牙城のバイエルン州の選挙でも、CDUと連立を組む保守与党、キリスト教社会同盟(CSU)が歴史的な大敗を喫し、社会民主党も得票率が半減、逆に「緑の党」と「ドイツのための選択肢(AfD)」が大躍進している。
2018/10/17 独与党、バイエルン州で大敗 メルケル政権に打撃
ドイツメディアは今回の選挙を「運命の選挙」と名付け、バイエルン州に続き与党の退潮に歯止めがかからなければ、メルケル政権の今後は危ういと指摘してきた。
バイエルン州ではCDUの姉妹政党のキリスト教社会同盟(CSU)が大敗したが、今回はメルケル氏が自ら率いるCDUの敗北だけに、ダメージも大きい。
メルケル首相は10月29日記者会見し、州議会選で連敗した責任をとり、保守系与党のキリスト教民主同盟(CDU)の党首を退任する考えを表明した。
12月の党大会で「党首に再び立候補することはない」。
2021年の任期切れまでは首相にとどまり、その後 政界を引退する意向を示した。
付記
ドイツ与党・キリスト教民主同盟(CDU)は12月7日、メルケル首相に代わる党首として、側近の女性幹事長 Annegret Kramp-Karrenbauer を選出した。
メルケル首相のかつての政敵で連邦議会(下院)元院内総務のFriedrich Merzとの決選投票で勝利した。但し、517 対 482 の僅差であった。
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