英内閣、Brexit合意案を承認  -2

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英政府は臨時閣議で承認した 離脱合意草案
概要及び将来関係の枠組みに関する政治宣言案概要を公表した。

付記 EUは11月25日、臨時の首脳会議を開き、協定などで正式合意した。移行期間延長は最長2年(2022年12月まで)とした。

メイ首相は記者会見で、離脱合意によって以下の状態が確保されると述べた。
 ・ EU域内の自由移動は「完全に決定的に」終わる
 ・ 英国の憲政上の一体性が守られる
 ・「民主的に選ばれた政治家がこの国の法律を作り、英国の裁判所がその履行を確保する」状態に戻る
   (欧州司法裁の管轄からの離脱)


要旨は以下の通り。

【移行期間の扱い】

【アイルランド国境】

 ○英国とEUは世界貿易機関(WTO)にかかわる問題については協力を続ける。

 ○英国とEUはそれぞれが単独でセーフガード(緊急輸入制限)を導入することが可能。

【離脱に伴う清算金】

 ○英国がEUに支払う必要のある「清算金」について、英国は合計350億~390億ポンド(約5兆1700億~5兆7600億円)と推計。

 ○離脱交渉を担う共同委員会とは別に、清算金支払いを管理する特別委員会を英EU共同で設置する。

 ○欧州投資銀行(EIB)や欧州中央銀行(ECB)への払込資本金は、英国に返還される。

 ○英国がEIBに支払った35億ユーロ(約4500億円)は2019年から12年間かけて返還される。

 ○英政府は清算金の支払いにあたって、英政府の代理となる監査役を任命する権利を求めて、EUと交渉する。EUは監査役に対して情報提供を行い、業務を支援することになる。

【市民の権利】

 ○英国で暮らすEU市民と在EUの英国市民に対し、居住や労働、教育などの権利について、2020年末までの移行期間終了後も離脱前と同等の権利を保障する

 ○移行期間の終了時点で、合法的かつ継続的に英国で5年間暮らすEU市民や、EUで5年間暮らす英国市民に対しては永住権を保障する。5年間に満たない場合、5年間に達するまで住み続けることができる。

 ○一般労働者や自営業者、国境を越えて働きに来る労働者らは、労働条件や労働支援などで現在同様の平等な権利が保障される。弁護士や監査役などの専門職も資格を保持し続ける。

 ○離脱協定に含まれる市民権は英国法に組み込まれる。市民権の内容解釈や各種の問題について、英国の裁判所は(EUの最高裁判所に相当する)欧州司法裁判所に申し立てることができる。この期間は離脱から8年間とする。

 ○欧州司法裁判所の判断はEU加盟各国で法的な効果を持つが、個別のケースにおける最終決定権は英国の裁判所が持つ。

 ○離脱協定にある英国での市民権が適切に実行されるかどうかを確認するため、独立した監督機関が設置される。

 ○市民権が守られない疑いがあれば、同機関は英国内で対策を求めて法的措置を取ることができる。EU内では欧州委員会が加盟国の法令順守を監督する役割を持つ。


将来関係(完全離脱後)の枠組みに関する政治宣言の概要は次の通り。

 物品貿易

包括的な自由貿易圏を創出し、制度・通関において密接な協力を実現
通関に関する野心的な取り決めにより、全品目で関税や数量割当の回避を目指す。

 金融サービス

英国とEU双方が規制・意思決定の独立性、自らの利益に基づく同等性(equivalence)評価の意思決定の自由を尊重しながら、金融市場の安定や市場の一体性などを維持
同等性評価の手続きは Brexit後 速やかに開始し、2020年6月までの完了を目指す。
EUは域外銀行の国の規制が同等だと認めない限り、域内の営業を許可していない。)

 漁業

英国が独自の規制を有する沿岸国であるとしつつ、双方の排他的経済水域へのアクセスや漁業権の割り当てなどについて新たな漁業協定を締結する。

 そのほか

国家補助、社会・雇用基準、環境基準、気候変動および関連税務などに関しては、公平・公正な競争環境を設ける。


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