東海第2原発の運転延長を認可

| コメント(0)
原子力規制委員会は11月7日、稼働から40年を迎える日本原子力発電・東海第2原発の運転期間の延長を認可した。


規制委は既に9月26日に安全審査の合格証に当たる「審査書」を了承している。

東海第二は2011年の東日本大震災で5.4 メートルの津波に襲われ、運転を緊急停止し、外部電源を失い、非常用発電機1台が停止した。安定した冷温停止になるまで3日半かかった。

東日本大震災で地震や津波の被害を受けた原発としては初の合格となる。

安全審査の合格は全国で8原発15基目で、東京電力福島第一と同じ沸騰水型炉(BWR)としては、柏崎刈羽6、7号機(2017年12月27日正式決定)に続き2カ所目となる。

2018/7/4 東海第2原発、 新規制基準に適合の審査書案


原発の運転期間は原則40年に制限されたが、認可によって最長20年間延長できる。

原発の運転期間延長が認められるのは、関西電力高浜原発1、2号機、美浜原発3号機(2017/12/27「審査書」を正式決定)に次いで3原発、4基目。
福島第1原発と同じ沸騰水型の原発では初めて。

  運転開始 万KW 運転延長認可 再稼働
関西電力 高浜① PWR 1974.11 82.6 2016/6/20 2019年10月の工事完了を目指す。
関西電力 高浜② PWR 1975.11 82.6
関西電力 美浜③ PWR 1976.3 82.6 2016/11/16 2020年1月の工事完了を目指す。
原電 東海② BWR 1978/11 110.0 2018/11/7 2021年3月の工事完了を目指す。


再稼働までに2つの問題をクリアする必要がある。

1) 安全対策工事

高さ20メートル、全長約1.7キロの防潮堤を建設して津波の浸入を防ぐ。
また原子炉格納容器の容積が小さく、事故時に事態が悪化しやすい沸騰水型の特徴を踏まえ、炉心を冷やす予備の冷却装置を追加で備える。

安全対策費に1740億円が必要としたが、原発専業の原電は自前で調達できず、規制委は資金確保を合格の前提条件とする異例の対応をとった。
原電は東京電力と東北電力から支援を受ける方針を示した。

2) 地元の同意

東海第2は首都圏唯一の原発で、30キロ圏内に全国の原発で最多の96万人が暮らしている。

既存の安全協定では事前了解権が東海村と県に限られるが、東海村・日立市・ひたちなか市・那珂市・常陸太田市・水戸市の要求を受け、東海村のほか周辺5市にも「実質的な事前了解権」を認める全国初の安全協定を結んでいる。 但し、「事前了解を得る」とはしているが、自治体間で賛否が分かれた場合、再稼働を止められるか、決められていなかった。

6市町村は11月9日の首長懇談会で、1市町村でも了解しなければ、再稼働には進まないとの認識で一致した。

那珂市の海野徹市長は10月22日、「完全な避難計画の策定はできない」と述べ、再稼働に反対する意思を表明した。難航が予想される。

付記

原電の和智信隆副社長は運転期間延長が認可された11月7日、報道陣に「拒否権という言葉は新協定の中にはない」と発言、これに対し首長側が強く反発、原電に対し、発言の撤回と謝罪を求めた。

和智副社長は11月24日、同意対象の6市村長に「不用意な発言だった。撤回させていただきたい」と述べ、「地域の皆さまに大変不愉快な思いをさせてしまい、深くおわび申し上げる」と謝罪した。

コメントする

月別 アーカイブ