国際石油開発帝石は10月31日、同社がオーストラリアでオペレーターとして操業を行なっている イクシス(Ichthys)LNGプロジェクトより初めて出荷されたLNGを輸送するLNG船が、同日朝、同社の「直江津LNG基地」に入港したと発表した。
日本企業が主体のLNG計画での初めての輸入である。
受け入れたLNGは気化された後、南長岡ガス田で生産した天然ガスと合わせて、関東甲信越及び北陸地域に広がる総延長約1,500キロメートルの天然ガスパイプラインネットワークを通じて需要家に供給される。
イクシスプロジェクトは2018年5月末に生産開始に必要な試運転作業が完了、7月に生産井からのガス生産を開始、10月1日に沖合生産・貯油出荷施設よりコンデンセート(超軽質油)の出荷を開始したのに続き 、10月23日にDarwinの陸上液化プラント設備からLNG船 PACIFIC BREEZEでLNGの初出荷を行った。
日本向けLNG運賃は以下の通りで、パナマ運河を経由するLNGと比べ、非常に有利である。
Kitimat(カナダ西海岸) 1.24 $/百万BTU US Gulf Coast 2.96 Cove Point(東海岸) 3.07 Ichthys(豪) 1.23 資料:Platts LNG Forum, Tokyo 2012/9/25
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Ichthysプロジェクトは、国際石油開発帝石(INPEX)がTOTALとともに推進する西豪州沖合WA-37-R鉱区ほかに位置するIchthys ガス・コンデンセート田の開発プロジェクトで、日本企業が主導する初の大型LNG(液化天然ガス)開発プロジェクト。
1998年の公開入札により本プロジェクトが位置する鉱区の探鉱権を取得、その後の探鉱・評価作業や基本設計作業などの開発検討作業を経て2012年1月に最終投資決定した。
2012/12/22 豪州イクシスLNGプロジェクトのファイナンス契約締結
Ichthys ガス・コンデンセート田の埋蔵量は、年間800万トン超のLNGを約20年の長期にわたり生産できる規模。
産出される天然ガスを、Darwinに建設する陸上プラントで液化し、年間890万トンのLNGと年間約160万トンのLPGとして生産・出荷する。
また、洋上貯油・出荷施設(FPSO:Floating Production, Storage and Offloading)等から日量約10万バレル(ピーク時)のコンデンセートを生産・出荷する。
LNG 890万トン LPG 160万トン コンデンセート 10万バレル/日
権益比率(%)と製品引取比率は下記の通り。2017年から15年間の長期LNG売買契約を締結した。
権益比率 製品引取
(万トン)INPEX (オペレーター) 62.245 90 Total 30.000 90 CPC (2013/6 参加) 2.625 175 東京ガス 1.575 105 大阪ガス 1.200 80 関西電力 1.200 80 JERA 東京電力 0.735 105 中部電力 49 東邦ガス 0.420 28 九州電力 ー 30 合計 100.000 832
主要EPC請負業者は次の通り。
上流事業 沖合生産・処理施設(CPF) Samsung Heavy Industries(韓) 海底生産システム(SPS) GE Oil & Gas(米) 沖合生産・貯油出荷施設(FPSO) Daewoo Shipbuilding & Marine Engineering (韓) フローライン、フレキシブルライザーなどの接続作業等 McDermott(米) 下流事業 陸上LNGプラント 日揮、千代田化工、KBR社(米)のJV 低温タンク4基 川崎重工、Laing O'Rourke ガス輸送パイプライン(GEP) Saipem(伊)・三井物産・住友商事・メタルワン
このうち、低温タンクについては、川崎重工とLaing O'Rourkeの間に争いがおこり、工事が遅延するトラブルがあった。
2017/3/20 豪州のイクシスLNG事業のタンク建設工事 中断、川崎重工と豪建設会社で争い
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