米中間選挙の結果と当面の問題

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11月6日の米国の中間選挙の結果は、下記の通り、上院では与党共和党、下院では野党民主党が勝利を収めた。

共和 民主 欠員 未確定
上院

任期6年
1/3ずつ改選

現状 非改選 42 23 65
改選 9 # 26 35
合計 51 # 49 100
結果 当選 11 # 24 35
新体制 53 # 47 100
下院

任期2年
過半数は218

現状 全員改選 235 193 7   435
結果 新体制 200 234 1 435

上院民主党の # 印は民主党系無所属(Vermont州のBernard Sanders とMaine 州のAngus King 議員)

フロリダ州の上院選では得票差が0.5ポイント以下のため、ルールにより再集計となり、確定に時間がかかる。

付記 アリゾナ州は民主が勝利、フロリダ州は再集計中→フロリダ州は共和党が勝利、

ミシシッピー州は11月27日に決選投票→共和党が勝利。

下院は11/27時点で上記の通りとなった。残り1議席(カリフォルニア州21区)はなお集計中。→ 民主党が勝利。
ノースカロライナ州第9選挙区は共和党勝利となっていたが、不正投票の疑いがあり、調査中、再投票の可能性も。  

付記 2018年8月死去のArizona州のJohn McCain上院議員の補充で指名された議員が2018年末に辞任する。
   知事は、2020年11月の選挙で議員が選ばれるまでの後任を指名する。
   選挙で選ばれた議員は、McCain議員の任期 (2022年まで)の残りを勤める。


下院では民主党の賛成がないと法案が通らない。委員会の委員長はすべて民主党が握り、審議する法案を決めることができる。

上院でも、与党共和党が勝利を収めたものの、60票には未達で、フィリバスター制度があるため、下記のような例外を除き、共和党の賛成だけでは議決できない。

上下両院で調整した予算決議案を可決すれば、財政調整法に基づき、その関連法案は多数決で議決できる。

トランプ政権は最高裁判事の選任で「核オプション」と呼ばれる禁じ手を使い、多数決で決議した。

今後、議会とトランプ大統領の争いが頻発する見通し。トランプ大統領の弾劾の可能性さえ噂される。
(弾劾には、下院が単純過半数の賛成に基づいて訴追し、上院が裁判し、上院出席議員の2/3多数の賛成が必要である。)

すぐに問題になるのは連邦予算である。

2019会計年度(2018年10月~2019年9月)の米連邦予算の法案が9月28日にトランプ大統領が署名し、成立したが、トランプ大統領がメキシコとの間の壁の建設費用を認めない場合に政府を閉鎖するとの脅しを続ける中、国防省等については正式予算、メキシコとの間の壁の建設を担当する国土安全保障省等については、中間決算の結果待ちで、12月7日までの「つなぎ予算」とする異例の形となった。

2018/10/2 米国、10月からの政府閉鎖回避 

壁の問題での大統領と民主党の争いが再開されることとなる。

トランプ大統領は、壁建設費50億ドルの歳出予算を盛り込むことを求めているが、上院民主党はかねてから、国境の壁建設予算16億ドルなら支持する方針である。

下院は壁無しの予算を通過させるであろうし、上院も大統領の求める額の予算は通せない。

その場合、妥協して予算案を成立させたとしても、大統領は拒否権を発動すると思われる。

上下両院がそれぞれ3分の2以上の多数で再び採択すれば、拒否権にもかかわらずその法案は連邦法として発効するが、それが出来ない場合、これまで続けてきたとおり、暫定予算でつなぐこととなる。
政府機関閉鎖の恐れもある。

また、債務上限問題もある。

2018年2月に、短期間の政府機関閉鎖の後、両党の合意で、債務上限を2019年3月まで停止することを決めたが、来年には上限を引き上げる必要がある。

2018/2/10 米国政府機関、再度の閉鎖、数時間後に予算合意で解除

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