トランプ米大統領による大規模な法人減税の結果、米国の法人税の実効税率が大幅に低下し、米国の多くの州の日本法人が日本の現行の「タックスヘイブン(租税回避地)対策税制」の適用対象になる。
現地で長年事業をしてきた日本企業が日本でも追加で課税される可能性があり、財務省が対策を検討している。
米共和党指導部は2017年12月15日、35%の連邦法人税率を2018年から21%に引き下げる大型減税法案(Tax Cuts and Jobs Act)を最終決定した。
トランプ大統領は同年12月22日、大型減税法案(Tax Cuts and Jobs Act)に署名し、法案が成立した。
2017/12/25 米減税法案 成立
この結果、米国のほぼすべての州で法人税などの実効税率は20%台になった。
法人税の実効税率は次の通りで、代表的なカリフォルニア州では、これまでの40.75%(法人税率35%)が27.98%に下がった。
これまで米国の実効税率はカリフォルニア州をベースにして各国と対比している。
同州では州税が利益の8.84%で、法人税計算ではこれは損金算入できる。
2017/12/18 米共和党、税制改革で統一案、減税規模10年で1.5兆ドル 法人税21%で決着
タックスヘイブン対策税制は、租税回避行為を防止するため、1978年度改正租税特別措置法で導入された。
この時点では、外国法人の税負担が20%以上であれば対象とならず、米国の減税後も問題はない筈であった。
しかし、2017年の税制改正で、これについても改正があり、2018年4月1日以降の事業年度開始から適用される。
改正内容は次の通りで、「LLC」と呼ばれるペーパーカンパニーは、現地の税負担率が30%を切ると自動的に日本側に合算される。
シェールガスの開発、発電所の運営、高層ビル建設のような不動産プロジェクト など、米国内で大型プロジェクトを進める時には事業ごとに特別目的会社(SPC)を作り、その下にリスク管理、施設管理、法務・監査と機能ごとにLLCをぶら下げることが多い。今のままだとこれらの所得が日本でも課税対象になる。
このため、財務省は同税制を見直す方向で12月にかけて与党と調整をすすめ、2019年度の与党税制改正大綱に見直しの方向性を盛り込む。
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