米最高裁長官がトランプ大統領に異例の抗議 "Obama Judge"

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トランプ大統領が、大統領の決定を裁判所が差し止めたのを批判したのに対して、最高裁長官が異例の抗議を行い、それに対して大統領が更に反論するという異例の事態となっている。


ホンジュラスを中心とする中米諸国から米国を目指す移民集団が、続々と国境に到着している。

これまでに米国境と接するメキシコのティフアナに約3000人の移民が到着しており、当局は向こう数週間でこれが1万人に膨れ上がるとみている。

「キャラバン」と呼ばれる移民集団のデモ行進は2010年以降、定期的に開催されている。最初のキャラバンは2010年、米テキサス州と国境を接するメキシコ・タマウリパス州で中米からの不法移民70人以上が麻薬カルテル「セタス」に誘拐、殺害されたことを受けて開催された。

本年春も、ホンジュラス出身者を中心とする約1500人の移民の一団が、貧困や暴力問題など、本国で置かれた窮状を訴えるため、メキシコ南部からデモ行進を開始した。 最終的には米国に難民として入ることを狙っている。

その多くは、米国までたどり着き、新しい人生を始めたいと語るが、トランプ米大統領がほぼ毎日のように、キャラバン批判を展開するなか、米国との国境から数百マイル離れた小さなメキシコ南部の集落で、大部分が歩みを止めた。

亡命申請は毎年行われているが、本年はアメリカの審査が非常に厳しくなり、大勢の人が国境手前の広場で長期に野宿をした。

トランプ大統領のツイッターでの発言要旨は下記の通り。

 ・ メキシコは不法移民が米国に入らないよう対策を取れ。さもないと、NAFTAをやめる。

 ・ 米議会はなんとしても、早く、国境法を通せ、さもなければ、国境の壁を作れ。

 ・ DACA(幼少期に親と不法入国した若者の強制送還を猶予する制度)は悪用されている。DACAはもうおしまいだ。

2018/4/7  トランプ大統領、メキシコ国境警備へ州兵部隊派遣へ


米国に向かっている移民集団に対処するため、米国防総省は10月29日、米軍をメキシコ国境に派遣すると発表した。

ジム・マティス米国防長官は11月21日、国境警備員の警護に米軍を当てる権限を得たと発表した。国境で混乱や暴動が発生した場合、米軍は移民を一時的に拘束することができるという。

トランプ大統領は11月22日、国境に派遣した軍に対し、武器の使用を認めたことを明らかにした。

付記

米国土安全保障省とメキシコ外務省は12月20日、米国での難民申請を目指す中米出身の移民に対し、難民申請中はメキシコで待機させることで合意したと発表した。メキシコ政府が譲歩した形となる。

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トランプ大統領は11月9日、「キャラバン」と呼ばれる移民集団を念頭に、難民申請の手続きに関する規則を変更し、メキシコ国境では入国前に検問所だけで受け付け 、検問所を通らず国境を越えた不法移民の難民申請は受け付けないとする大統領令に署名した。合法的な難民申請に対する審査も厳格化する見通し。

大統領は、不法入国者が米国内で捕まった後、本国で迫害を受ける恐れがあると訴えて難民申請をした後、行方が分からなくなるケースが増えていると指摘。「外国籍の人がいったん米国に入国すると、退去させるのは難しい。巨大な移民集団を今すぐ取り除くことに失敗すれば、さらなる不法移民集団が我が国に押し寄せる」と強調した。

これに対し、アメリカ自由人権協会(ACLU)は同日、「いかなる所でも難民申請はできる」と反発し、大統領令を無効にするよう裁判所に提訴した。

カリフォルニア州サンフランシスコの連邦地裁は11月19日、この大統領令について、移民法に違反するとして一時的に差し止める仮処分命令を出した。仮処分命令は次回審理が予定されている12月19日までのもので、即時、全米で有効とした。延長の可能性もある。


判事は、1965年に改正された移民国籍法では、米国に到着した外国人は誰でも、正規の入国地点からであるか否かにかかわらず難民申請が可能としていると指摘、今回の規則は、移民国籍法および連邦議会が表明した意図と相いれない矛盾があると述べた。


これに対し、サンダース大統領報道官は11月20日、「移民制度を管理する行政府の権限への干渉だ」と非難する声明を出した。その上で、政府方針を堅持するため「必要なあらゆる行動を取る」と争う姿勢を示した。

トランプ大統領は22日、地裁判事を"Obama Judge"と呼び批判した。

「重大な苦情("a major complaint")を申し立てる。これはオバマ判事だ。こんなことは再び起こさせない。最高裁で勝つ」と述べた。「我々はいつも第9巡回裁判所では勝つことができないし、これは不名誉だと思う」とも述べた。

トランプ大統領は昨年1月の就任後、三権分立や司法の独立を軽視する発言を重ねてきた。

米連邦最高裁判所のJohn Roberts長官は 大統領の発言に沈黙を守ってきたが、11月21日、「オバマの判事も、トランプの判事も、ブッシュの判事も、クリントンの判事もない」と声明で反論した。

「ここにいるのは、法廷に現れた人たちに平等な権利を遂行するために最善を尽くしている献身的な判事たちのたぐいまれなる一団だ」 、「独立した司法こそ、我々が感謝すべきものだ」と語った。

最高裁からの異例の反論に対し、トランプ氏もツイッターで応酬。「ロバーツ長官、残念だが『オバマの判事』は確かにいて、我が国の安全に責任を持つ人たちとかなり違う観点を持っている」と し、次のように述べた。

第9巡回連邦控訴裁判所が本当に『独立した司法』だったら、すばらしいが、もしそうなら、なぜこんなにたくさんの真逆の(国境と安全についての)案件があるんだ。なぜこうした案件の大半が却下されているんだ。数字を見てくれ、ショッキングだから。保護と安全保障が必要なのに、裁判所の決定はこの国の治安を悪くしている! とても危険で愚かだ!」

Sorry Chief Justice John Roberts, but you do indeed have "Obama judges," and they have a much different point of view than the people who are charged with the safety of our country.

It would be great if the 9th Circuit was indeed an "independent judiciary," but if it is why are so many opposing view (on Border and Safety) cases filed there, and why are a vast number of those cases overturned. Please study the numbers, they are shocking. We need protection and security - these rulings are making our country unsafe! Very dangerous and unwise!..

キャラバンには多くの犯罪者がいる。彼らを止めるのだ。セキュリティや市民の安全が分かっていない人による司法積極主義(裁判所が法を拡大解釈する)は国を危うくする。よくない!

There are a lot of CRIMINALS in the Caravan. We will stop them. Catch and Detain! Judicial Activism, by people who know nothing about security and the safety of our citizens, is putting our country in great danger. Not good!

第9巡回は79%もの決定を覆した。分割しないといけない。第9巡回は全くの災厄だ。

"79% of these decisions have been overturned in the 9th Circuit." A terrible, costly and dangerous disgrace. It has become a dumping ground for certain lawyers looking for easy wins and delays. Much talk over dividing up the 9th Circuit into 2 or 3 Circuits. Too big!

Justice Roberts can say what he wants, but the 9th Circuit is a complete & total disaster. It is out of control, has a horrible reputation, is overturned more than any Circuit in the Country, 79%, & is used to get an almost guaranteed result. Judges must not Legislate Security and Safety at the Border, or anywhere else.

何も知らず、国を危うくしている。専門家に仕事をやらせろ!


John Roberts 長官はGeorge W. Bush大統領が指名した保守系の判事である。

性別 年齢 人種背景 指名した大統領 就任日 判断傾向
Clarence Thomas 男性 70歳 アフリカ系 George H. W. Bush 1991年10月23日 保守
Ruth Bader Ginsburg 女性 85歳 ユダヤ系 Bill Clinton 1993年8月10日 リベラル
Stephen Breyer 男性 80歳 ユダヤ系 1994年8月3日 リベラル
John Roberts 男性 63歳 白人系 George W. Bush 2005年9月29日 保守
Samuel Alito 男性 68歳 イタリア系 2006年1月31日 保守
Sonia Sotomayor 女性 64歳 ラテン系 Barack Obama 2009年8月8日 リベラル
Elena Kagan 女性 58歳 ユダヤ系 2010年8月7日 リベラル
Neil Gorsuch 男性 51歳 白人系 Donald Trump 2017年4月10日 保守
Brett Kavanaugh 男性 53歳 白人系 2018年10月6日 保守

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