中国政府は12月14日、米国から輸入する自動車に上乗せしていた25%の関税を来年1月から3カ月間、停止すると発表した。米国製自動車の関税はいまの40%から元の15%に戻る。
12月1日の米中首脳会談の合意に基づく措置である。
米国は2000億ドル分の中国製品について、2019年1月1日に追加関税を25%に引き上げるのを止め、当面 10%に留める。
中国は、非常に多くの農産物、エネルギー、工業製品その他を米国から購入し、貿易のインバランスを減らす。
両国は5分野での構造変化の協議を開始し、90日以内に結論を得る。
2018/12/2 米、中国への追加関税を90日猶予
発表にはないが、トランプ大統領は中国が自動車関税を引き下げると述べていた。
中国財務省は「国内市場に合った製品の輸入が拡大し、人民のニーズを満足させられる。追加関税は米国の保護主義に迫られてとった措置だった。あらゆる追加関税を取り消す方向で協議を加速し、バランスのとれたウィンウィンの新たな貿易秩序を築きたい」と、他の分野でも摩擦を解消する意向を示した。
中国の国営企業が12月12日に150万トン以上の米国産大豆を購入したことが分かった。更に追加するとみられる。
但し、(1)米企業への技術移転の強要 (2)知的財産権の保護 (3)非関税障壁 (4)サイバー攻撃とサイバー犯罪(窃盗)(5)サービスと農業の市場開放 の5分野での構造変化の協議が、90日以内(2019年2月末まで)に結論を得られるかどうか、疑問であり、振出しに戻る恐れもある。
さらに、今回の華為技術(Huawei Technologies )の孟晩舟副会長 兼 最高財務責任者の問題もあり、楽観視は出来ない。
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自動車については、税率が25%の(関税番号での)135種と、20%のトラック4種を引き下げ、全て15%にし、自動車部品については、8%、10%、15%、20%、25%の(関税番号での)79種を引き下げ、全て6%とする。
2018/5/24 中国、自動車関税を一律引き下げ 米に歩み寄り
しかしその後、米中の制裁関税、報復関税が相次いだ。
トランプ米政権は2018年7月6日、中国の知的財産侵害に対する制裁関税を発動した。
米通商代表部(USTR)は、第一弾の340億ドル分について、米東部時間7月6日午前0時1分(日本時間午後1時1分)以降に米国に到着したり、国内の保管庫から取り出されたりした輸入品から関税を徴収すると通知を出した
中国も対抗して7月6日に同額の輸入品に追加関税をかけた。乗用車、電気自動車なども含まれており、乗用車は40%となった。
米通商代表部(USTR)は、残り160億ドル(25%)の制裁関税を8月23日に発動すると発表した。
これを受け、中国も、残り160億ドルの追加関税の対象製品リストについて相応の調整を行った後、2018年8月23日午後0時1分より25%の追加関税を課すことを決定したと発表した。
トランプ米政権は9月17日、中国からの輸入品2千億ドルを対象に第3弾の制裁関税を9月24日に発動すると発表した。2018/7/6 米国、対中制裁関税を発動、中国も対応
家具や家電などに10%の関税を上乗せする。中国が踏み込んだ政策変更に応じない場合、2019年以降は25%に引き上げる。
中国は9月24日午後0時1分より 報復関税を課した。5207品目、600億ドルに対し、5%と10%追加関税を課す。
2018/9/20 米国、対中関税第3弾を9月24日発動
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中国の乗用車関税の推移:
全体 対米国 当初 25% 25% 2018年5月 15%
↓
15% 2018年7月 対米追加関税 25% 40% 2019年1月~3月 対米追加関税免除 15% 2019年4月以降 米中交渉結果次第 40% ?
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