千葉の石炭火力計画中止

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中国電力とJFEスチールが共同出資した「千葉パワー」は12月27日、千葉市のJFEスチール東日本製鉄所構内で計画していた石炭火力発電所「蘇我火力発電所」の建設を中止すると発表した。

両社は2016年11月、特別目的会社を設立のうえ共同で石炭火力発電所開発に関する検討に着手することに合意したと発表した。

計画内容は次の通りで、関東地域における中長期的な電力の安定供給確保に貢献するとともに、地域経済の活性化にも寄与するとした。

建設予定地 千葉市 JFEスチール東日本製鉄所構内
発電方式 超々臨界圧(USC)発電方式
出力 約107万kW
主燃料 石炭
運転開始 2024年(予定)

2017年4月3日、中国電力 73%、JFEスチール 27% 出資で千葉パワーが設立された。

発電所は2020年着工、2024年運転開始を目指して2016年から環境影響評価の手続きに着手し、詳細設計を進めていたが、今回、本計画は十分な事業性が見込めないと判断したことから検討を中止することとしたとしている。

今後は建設費が比較的安く、石炭火力に比べてCO2排出量が少ないLNGを燃料とする火力発電所の建設を検討する。

本建設計画については付近住民らでつくる「蘇我石炭火力発電所計画を考える会」が反対運動を展開している。

2017年3月には環境省が、「パリ協定」での 2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比26%削減するという目標を達成できない恐れがあるとして、自主的な計画撤回を求める意見書を提出していた。

付記 

出光興産、九州電力、ならびに東京ガスは1月31日、千葉県袖ケ浦市にある出光興産所有地を活用した千葉袖ケ浦エナジーの石炭火力発電所の共同開発を断念すると発表した。

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環境省は2015年に、多くの石炭火力計画に対し、「現段階では是認できない」とする環境影響評価(アセスメント)の意見を経済産業省に提出した。

2015/11/18 環境省、千葉と秋田の石炭火力計画も是認せず

その後、環境省は経産省との合意をもとに、2016年2月に石炭火力の新設を容認した。

2016/2/11 環境省、石炭火力発電所の建設を容認 

環境省は2017年3月10日、「(仮称)蘇我火力発電所建設計画に係る計画段階環境配慮書」に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。事業実施の再検討も選択肢とするよう求めている。
山本環境相は上記の合意を維持するとしつつ、「事業リスクが極めて高いことを自覚してほしい」と述べ、自主的な計画撤回に期待感をにじませた。

内容は次の通り。

パリ協定の目標達成のため「石炭火力の稼働を是認できなくなるおそれもある」

本事業者においては、石炭火力発電に係る環境保全面からの事業リスクが極めて高いことを改めて自覚し、2030 年及びそれ以降に向けた本事業に係るCO2 排出削減の取組への対応の道筋が描けない場合には事業実施を再検討することを含め、事業の実施についてあらゆる選択肢を勘案して検討することが重要である。

経産省に対しては、省エネ法に基づくベンチマーク指標の2030 年度目標の確実な遵守及び道筋の検討、共同実施の評価の明確化、自主的枠組みの実効性・透明性の向上及び参加事業者の拡大、省エネ法及び高度化法の指導・助言、勧告・命令を含めた適切な運用、引き続き、CCS 導入に向けた一層の取組を進めること。

「パリ協定」で、日本は2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比26%削減する目標を掲げるが、石炭火力の新増設計画が2017年2月現在で約1940万キロワット分に上り、達成できないおそれがある。

2017/3/16 環境省、千葉の石炭火力発電所計画の再検討求める 

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