ドイツの政府委員会、2038年までに石炭火力全廃を答申

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ドイツ政府の諮問委員会は1月26日、2038年までに石炭火力発電所を全廃し「脱石炭」を行うよう求める答申をまとめた。産業界や環境団体、学識者などが参加する政府委員会は25日から夜通しで協議し、26日朝に合意した。ドイツ政府は今後、法整備の本格検討に入る。

二酸化炭素(CO2)の排出量を削減し、ドイツ政府が決めた気候変動目標を達成する手段となる。

ドイツの発電量の4割弱は石炭や石炭の一種で特にCO2排出量が多い褐炭に由来し、環境保護派と褐炭産地の間で廃止時期を巡る議論が続いていた。ドイツは世界最大の褐炭産出国。

石炭火力からの撤退で影響を受ける州に対して20年間にわたり総額400億ユーロ(約5兆円)を支援することでも合意した。 これからの問題は、連邦政府と16の州がこの費用をどのように分担するかである。

ドイツでは2022年までの脱原発を決めており、これに加え、脱石炭を行うこととなる。

2002年に当時のSchröder政権(ドイツ社会民主党と緑の党の連立政権)が原子力法を改正し、原発の運転年数を32年と定めて順次停止し、2022年までに原発を廃止すること、原発の新規建設は認めないことを決定した。

しかし、2009年にMerkel 政権(キリスト教民主・社会同盟と自由民主党の連立政権)が成立し、方向転換した。

1980年以前に稼働を開始した原発7基の稼働期間を8年、1981年以降に稼働を開始した原発10基の稼働期間を14年延長する「エネルギー計画2050」を決定し、2010年12月に原子力法を改正した。

ところが、2011年3月11日の福島第一原発事故で、この決定が覆ることになった。メルケル政権は、すべての原発を2022年までに廃止するという以前の決定を受け入れることになった。

2011年の福島第1原発での事故を受け、ドイツ政府が自国の原発の停止を命じたことについて、ドイツの連邦憲法裁判所は2016年12月6日、原発を操業していたエネルギー企業各社が補償を求める権利を認める判断を下した。

2016/12/9 ドイツの憲法裁判所、原発廃止で原発事業者の補償請求権を認める

ドイツの再生可能エネルギーは昨年に合計で40%以上となり、初めて石炭を上回ったが、更にこれへの移行を進める。

提案では先ず、石炭火力業者(RWE、Uniper、EnBW、Vattenfall など)に2022年までに12.7gigawatts の能力(大規模火力の約24基に相当)を停止することを求めた。

2030年までにドイツの石炭火力能力を半分以下の17gigawattsに落とす。

提案には、RWEの褐炭の主要なソースであるHambach の森の保存が望ましいと述べており、RWEにとり打撃となった。

ハンバッハ鉱山は、Nordrhein-Westfalen Elsdorf にある大型露天採掘鉱山で、RWEによって運営され、年間約4000万トンの亜炭(褐炭)を産出している。

ハンバッハでの採掘が始まったのは1980年の初めで、森を潰して広がっていったハンバッハの採掘現場は85㎢にもなり、露天掘りのまま、最高450mの深さまで褐炭含みの土が削られた。

REWは、石炭火力発電所に燃料を供給するために2040年までの間に24億トンの褐炭を採掘する計画をつくり、所有するハンバッハの森200haの半分の伐採を2018年10月15日に始めると発表した。

市民がこれに反対、停止を求めて提訴し、同州ミュンスターの裁判所が2018年10月5日、森林伐採計画をめぐる環境訴訟の審理にはさらなる時間を要すると判断し て計画を差し止めた。電力を確実に供給するためには新たな森林伐採が早急に必要だというRWEの主張は十分に証明されなかったと判断した。

今回、政府の委員会が森の保存が望ましいとしたもので、石炭火力廃止により、この森が守られることとなる。

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