中国の李克強首相は1月4日、市中銀行の預金準備率の引き下げや減税、手数料削減を行う考えを示した。景気減速を受けて一段の措置を取る姿勢を明確にした。
李首相は、小規模な民間企業を支援する目的の預金準備率の引き下げを行うと表明したほか、マクロ政策でカウンターシクリカル(反循環的)な調整を強化し、さらなる減税と手数料引き下げを実施する考えを示した。
「預金準備率を全面的に下げたり、特定の銀行向けに下げたりする手段をうまく運用し、民間企業と中小零細企業の資金調達を支える」と述べた。
12月31日に発表された2018年12月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は、2年半ぶりに業況改善・悪化の分かれ目となる50を下回った。今後の活動をみる上で目安となる新規受注は引き続き弱く、国内企業を取り巻く環境は今後も悪化する可能性があることが示された。
資金繰りを支えて倒産を防ぐ狙いがある。
これを受け、中国人民銀行(中央銀行)は同日、預金準備率を1ポイント下げると発表した。1月15日と25日にそれぞれ0.5ポイントずつ下げる。大手銀行の標準的な準備率は現在の14.5%から13.5%になる。
引き下げは2018年10月以来3カ月ぶり。
中小銀行は12.5%が11.5%になる。
付記
中国人民銀行は5月6日、中小銀行を対象に預金準備率を引き下げると発表した。地方の商業銀行約1000行が対象で、預金準備率は現状の11.5%から8%に下げる。地方の中小信用組合と同水準になる。
2800億元(約4兆6千億円)規模の長期資金を放出することで、中小企業向け融資を促進する狙いがある。
大手銀行の標準的な預金準備率は2016年3月以来、2018年春まで17.0%であった。
中国人民銀行(中央銀行)は2017年9月30日、一定の条件を満たした銀行に限り、預金準備率を2018年から最大1.5%下げると発表した。2017/10/7 中国、預金準備率最大1.5%下げ
2018年に入り、準備率は3回引き下げられた。
2018年4月25日から預金準備率を1ポイント下げ、16.0%とした。準備率下げで浮いた預金は人民銀による市中銀行向け貸し出しの返済に大半をあてることを義務づけた。金融監督の強化で苦しくなった一部の中小銀行の資金繰りを支援する狙いがあるとみられた。
2018年7月5日から預金準備率を0.5ポイント下げ、大手銀行の標準的な準備率を15.5%に下げた。
2018年10月15日から大手銀行が15.5%から14.5%へ、中小銀行が13.5%から12.5%へ、1%ポイント引き下げた。
今回更に1%ポイント下がり、大手銀行が13.5%、中小銀行が12.5%になる。
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