Saudi Aramco、パキスタンで製油所建設へ

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Saudi AramcoがパキスタンのGwadarに製油所を建設する。60~100億ドルの投資とみられており、サウジによるパキスタンへの最大の投資となる。

また、サウジアラビアのエネルギー会社であるACWA Power International が再生可能エネルギー分野での同様規模の投資を検討している。

パキスタン側は、これらを加えたサウジからの投資を3年間で150億ドル程度になると期待している。

パキスタン政府筋によると、サウジの15人の代表団がこのたびGwadarを訪問し、Aramcoによる製油所建設についてのMoUを締結した。

サウジのMuhammad bin Salman皇太子の2月のパキスタン訪問時にこれらを含めた多数の投資契約に調印する。



パキスタン外務省は2018年10月23日、サウジアラビアから総額60億ドル相当の経済支援を受け入れることで合意したと発表した。

国際収支状況を支援するための融資30億ドルをサウジがパキスタンに1年間供与する。またサウジはパキスタンに対し、原油・石油輸入額の支払いを最大30億ドル、1年間まで延期できる措置を、今後3年に渡って供与する。

外貨準備高が2年で半減し、対外支払いのデフォルト危機に直面するパキスタンにとって、資金繰り改善の一歩となる。サウジは記者殺害事件で国際的な批判が高まるなか、友好国を広げる狙いもある。

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なお、代表団のパキスタン訪問時に、パキスタン側は中国パキスタン経済回廊やGwadar 開発のMaster Planを含め、現在の開発状況について説明した。

パキスタンと中国は2013年2月、Gwadar港の港湾管理権をシンガポールのThe Port of Singapore Authority (PSA)から中国のChina Overseas Port Holding Companyに移譲する契約に調印した。

Gwadar港は南アジアと中東を結ぶインド洋の戦略的要衝で、中国は中東やアフリカから石油を運ぶための拠点を確保したことになる。
今後、原油貯蔵設備や製油所を建設するとされる。

約4.1億ドルを投資した第1期工事では総延長660メートルのコンテナターミナルが完成。オフィス棟や税関などを備えた貿易ゾーンの工事も急ピッチで進む。今後は水産加工施設や倉庫などを備えた物流センターをはじめ、湾岸高速道路や新空港、職業訓練校なども整備していく。

2013/2/20 中国、パキスタンのグワダル港の運営権を取得 

中国の習近平国家主席は2015年4月に就任後初めてパキスタンを訪問し、両国が協力してパキスタンの道路や港湾、水力発電所の大規模なインフラ整備を進めることで合意した。中国パキスタン経済回廊(China-Pakistan Economic Corridor)と呼ばれ、「一帯一路構想」を構成する重要な一部となっている。

パキスタン政府によると、その規模は280億ドルで、このうち、水力発電所のプロジェクトには、2014年末に設立されたばかりの中国政府系の投資ファンド「シルクロード基金」が初めての投資を行う。

2015/5/2 中国のシルクロード基金が初投資、パキスタンで水力発電所整備へ

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ACWA Powerは中東、北アフリカ、南アフリカ、東南アジアを含む10カ国で発電や海水の淡水化事業を行っている。

同社は自然エネルギーに力を入れており、補助制度による利点を加味した状態の石油やガスによる火力発電よりも、太陽光・風力・集光型太陽熱発電(CSP)・廃棄物発電が勝る領域が出てきているとしている。

モロッコの砂漠地域にあるワルザザート (Ouarzazate郊外において、エンジニアリング会社SENERと組んで、世界最大のCSP発電所「Noor」を開発している。投資額は30億ドルで、3フェーズの合計出力は510MWとなり、稼働後はモロッコの110万人の消費電力を賄うのに十分な量を発電する。蓄熱によって、夜間でも7時間、発電できる設備としている。

モロッコのほか、アラブ首長国連邦(UAE)で同200MW、ヨルダンで同100MW、南アフリカで同150MWなどを計画している。



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