Bayer、血友病治療薬の特許訴訟で武田薬品子会社 Baxaltaに勝訴

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デラウエア州 Wilmington 連邦地裁で陪審員は2月5日、武田薬品の子会社Baxalta に対し、同社の血友病治療薬がBayer 特許を侵害していると判断し、155.19百万ドルを支払うよう命じた。

武田薬品は2019年1月8日付でアイルランドの製薬大手Shire plc の買収を完了した。

Shire plc は2016年にBaxaltaを買収した。(Baxaltaは2015年7月にBaxter Laboratoriesからスピンオフした会社である。)
Shireはこれにより、3つの治療領域(血液、免疫、腫瘍)に進出 し、希少疾患の患者のため尽力するバイオテクノロジー分野のグローバル・リーディング・カンパニ
ーに なるとした。

2015/8/8  アイルランドのShire Pharmaceuticals、Baxalta に買収提案

賠償額は、対象期間を2016/6/14~2018/11/30とし、872.84百万ドルの売上高に対し、17.78%のロイヤリティとした。

問題の血友病治療薬はAdynovate で、Baxalta によると次の通り。

  • Adynovate [ペグ化遺伝子組換え血液凝固第Ⅷ因子製剤]は、世界で最も使用されている血友病A治療薬である Advate[遺伝子組換え血液凝固第Ⅷ因子製剤]をもとに創製されている。
  • 作用時間を延長できる独自開発のペグ化技術(Nektar Therapeuticsから独占使用権を得た技術)により、従来の週3~4回の投与に対し、週2回のシンプルな投与スケジュールを提供する。
  • ピボタル試験において、Adynovateによる定期補充療法では、出血時補充療法(On-Demand)との比較で出血を95%低減し、Adynovateによる定期補充療法を受けた患者の約40%では出血がなかった。

Bayerの血液凝固第Ⅷ因子製剤(遺伝子組み換え型)Kogenate 及びその後継品 Kovaltryは次の通り。

新規のペグ化遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子製剤で、ポリエチレングリコール(ペグ)分子が部位特異的に第VIII因子と結合(ペグ化)することにより、生体内半減期を延長し、長時間体内での血液凝固活性を維持できるように設計されている。

Bayerの訴状によると、事態は次の通りで、San Franciscoに拠点を置くNektar TherapeuticsがBayerとの契約で実験を行い、Bayerの特許の存在を知りながら、その技術をBaxterに独占的に供与したことから発生した。

Bayer とNektar は2003年12月に "Research Agreement" を締結し、Nektar は Bayer の指示のもとに、Bayerの遺伝子組換え型血液凝固第VIII因子をペグ化した。

Nektarは1年後に報告書を出したが、実用化には問題があることが分かり、Nektar との契約を終了した。
Bayerは独自で研究を続け、2016年に米国で特許(No. 9,364,520)を出した。

その後、いろいろあり、Nektar はBayer の '520' 特許の中身について熟知しているのは明らかである。

Nektar は2005年9月にBaxterとの間でペグ化候補についての独占研究開発・ライセンス・製造・販売契約を締結した。
2007年12月に契約改定を行い、Nekatarのペグ化技術についてBaxterに独占供与を行った。

2005年の契約に基づき、両グループはAdvate[遺伝子組換え血液凝固第Ⅷ因子製剤]に基づく開発を行い、ペグ技術を使用して、Adynovate の開発に至った。

Baxter からスピンオフしたBaxaltaが現在、Adynovate の権利を持っている。

Baxaltaは直接、'520 patentに違反している。

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