2月4日付の日本経済新聞に「中国『BATIS』の野望」という記事がある。
「BATIS」。習近平指導部が国家プロジェクト「AI発展計画」で17~18年に指名した5大プラットフォーマーだ。百度(バイドゥ、自動運転)、アリババ(スマートシティー)、テンセント(ヘルスケア)、アイフライテック(音声認識)、センスタイム(顔認識)の5社は補助金や許認可で手厚い支援を受ける。
グーグルなど米IT大手「GAFA」が激しい市場競争を勝ち抜いてきたのに対し、党が選んだ中国のBATISは14億人の人口から得られる膨大なデータを吸い上げて突き進む。イノベーション(革新)は自由競争から生まれるという従来の常識への挑戦状だ。
グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の4社がGAFAと呼ばれるのに対し、中国の国家プロジェクト「AI発展計画」で政府が指名した5大プラットフォーマーがBATISと呼ばれる。
Baidu=バイドゥ(百度)、Alibaba=アリババ(阿里巴巴)、Tencent=テンセント(腾讯)、Iflytek (アイフライテック=科大訊飛)、SenseTime(センスタイム=商湯科技)の5社である。
Baiduは自動運転、Alibabaはスマートシティ、Tencentはヘルスケア、Iflytek は音声認識、SenseTimeは顔認識の分野をリードする。
中国政府は2017年7月に「次世代AI発展計画」を発表した。
AIを「国際競争の新たな焦点になり、将来をリードする戦略技術」と位置付け、AI産業発展の3段階戦略を描いた。
ジェトロ作成 |
第1段階は、2020年までにAIの全体的な技術とその応用を「世界先進水準に引き上げる」。関連産業も含めた規模を1兆元(約17兆円)と見込む。
第2段階は2025年までで、基礎理論を進展させ、一部技術と応用を「世界トップ水準に向上させる」ことを目標としている。関連産業も含めた規模は5兆元(85兆円)。
第3段階として、2030年までに「理論、技術、応用の全ての分野で世界トップ水準」に引き上げ、中国を世界の主要な「AIイノベーションセンター」にする目標を設定した。関連産業を含めた規模は10兆元(170兆円)。
計画の旗振り役である工業情報化部は2017年末、目標達成へのアプローチの第1段階として、「次世代人工知能発展三カ年行動計画」(2018~2020年)」を打ち出した。2020年までにAI製品やコア技術、製造業のスマート化、支援システムなどにおける行動目標をそれぞれ定めた。
また科学技術部は2017年11月、次世代AIの発展計画および重大プロジェクトの推進と実施を担う「AI発展計画推進弁公室」を発足させた。
科学技術部をはじめ、工業情報化部、国家発展改革委員会などの政府部門、協会、研究機関の計15機構により構成され、イノベーションを中心にAI産業に関する計画を推進する。
第1期として、政府主導で4つのAI分野を定め、分野ごとにリード企業を選定する戦略を発表した。
4分野とリード企業は、
- 医療分野はテンセント
- スマートシティではアリババ
- 自動車の自動運転は百度
- 音声認識はアイフライテック
そして2018年9月に、SenseTimeがIntelligent Vision(画像認識)の分野でリードする企業として選定された。これで「BATIS」となった。
画像認識では次の4社が新四天王と呼ばれる。
- SenseTime(センスタイム=商湯科技)
- Megvii(北京曠視科技)Alibabaが出資
- Cloud Walk (雲従科技)
- YITU Technology (依図科技)
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