千代田化工、米国 Golden Pass LNG輸出基地の設計、調達、建設業務を受注

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千代田化工建設は2月6日、米国のZachry Group 及びMcDermott International と共同で、Golden Pass Products LLCから、米国テキサス州 Sabine Passで計画されているLNG輸出基地の設計、調達、建設(EPC)業務を受注したと発表した。

Golden Pass Products LLCはQatar Petroleumが70%、ExxonMobilが30%を出資する。計画は、既存のGolden Pass LNG 輸入基地に天然ガス液化設備等を建設し、同基地を市場の状況に応じてLNGの輸入と輸出を行えるようにするものである。

既存のGolden Pass LNG 輸入基地は、Qatar Petroleum (70%)、ExxonMobil (17.6%) に加え ConocoPhillips (12.4%) が加わるJVである。
年間1560万トンの輸入LNG(天然ガス換算 日量20億立方フィート)を2つのバースで輸入し、ガス化する。2010年に完成した。

今回の計画は、年産520万トンの液化設備3基(合計能力 1,560万トン)を建設する。用役設備の増設や既存の輸入設備との連結、安全設備の拡充なども含める。パイプラインも拡充する。
ConocoPhillipsはこの事業には参加しない。

投資額は100億ドルで、2024年に運転を開始する予定。

Golden Pass はエネルギー省から、FTA締結国向けには2012年に、非締結国向けには2017年に、20年間の輸出承認を受けている。


千代田化工は、下記の通り、米国Cameron LNGプロジェクトで大幅赤字を計上している。米国ではトランプ政権の移民規制でエネルギー開発の人手不足が深刻になっており、工期遅延のリスクがある。

このため、今回の契約では、ZachryMcDermottが労働者の生産性など現地建設関連のリスクの責任を負うスキームとし千代田の負うスコープは基本的に設計と調達に限定した

但し、リスクを回避する代わりに、日経報道によると、得られる利益も最大でも300億円程度と、通常のプロジェクトに比し少ない。

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千代田化工建設は2018年11月9日発表の中間決算で、連結決算の最終損益が1086億円の赤字と発表した。

米国で工事を進めているCameron LNGプロジェクトで工事コストが約850億円の大幅増加となる。

Cameron LNGプロジェクトは、米国のSempra Energyの子会社であるCameron LNGが、ルイジアナ州HackberryのLNG輸入基地の輸出基地への転用のため、総工費60億ドルで1系列年間400万トン能力の液化設備3系列(合計能力 1,200万トン)を建設するもの。

先ず2017年に、製造、設計、建設拠点での大雨と洪水が原因で遅れが生じ、顧客Cameron LNG社との間で契約条件交渉を行い、合意に至った。

2017/12/27 千代田化工、キャメロンLNGプロジェクトの契約変更

同社は 2018年3月期決算で、123億円の営業損失を計上したが、その後、本プロジェクトで下記の問題があることが分かった。

・2018年初頭からの現場作業員、特に技能工の不足が今後も続くこと

・それに伴う人件費の大幅高騰

・現場が市街地から離れ不便なことなどから作業員の定着性が極めて低く、現場工事の生産性が再び低下

このため、現場作業員の人件費を含む工事コストが大幅に増加することが分かり、約850億円を追加した。

2018/11/14 千代田化工建設、米国LNG計画で850億円の追加工事 

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