トランプ大統領、石炭火力発電所閉鎖に反対

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トランプ大統領は2月11日、国営電力会社テネシー川流域開発公社(TVA)に対し、石炭火力発電所の閉鎖を見送るよう求めた。

TVAは経済上の理由で、石炭火力から天然ガス・原子力発電や再生可能ネルギーへの移行を進めて おり、ケンタッキー州 Paradise発電所で最後の石炭火力発電となっている 3号機について今後の方針を決定する。

トランプ大統領はツイッターに「石炭は発電燃料の重要な一部だ」と投稿。「Paradise 3 号機のような操業可能な発電所の閉鎖を決める前にあらゆる要素を真剣に検討すべきだ」と主張した。

Coal is an important part of our electricity generation mix and TVA should give serious consideration to all factors before voting to close viable power plants, like Paradise #3 in Kentucky!

炭鉱労働者はトランプ大統領の支持基盤で、ケンタッキー州選出の共和党のRand Paul 上院議員や Mitch McConnell 上院院内総務も、石炭が雇用創出や安定した電力供給につながるとして、石炭火力発電の継続を求めている。

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TVAのParadise石炭火力発電所はケンタッキー州西部の Paradise のGreen River 沿岸にある。石炭火力が3基あったが、1号機、2号機(1963年稼働で、いずれも704MWで当時世界最大) は2017年に閉鎖し、10億ドルを投資して天然ガスによるコンバインドサイクル発電所を建設、2017年4月に稼働させた。

3号機は1970年稼働で、能力は1,150 MW。1985年にバージ荷揚げ設備が完成し、石炭を列車やトラックのほか、バージでも運び込むことができるようになった。

年間で140億kwの発電を行い、95万戸以上の家庭に電気を供給している。

TVAでは2019年2月11日に次のように発表した。

今後の電力需要がフラットか減少すると見られ、再生可能エネルギー利用により負荷率が変動するため、TVAでは設備をどうするか、検討する必要がある。

将来のメンテナンスコストが比較的高く、環境対策費用が高い設備は閉鎖の候補となるが、Paradise 3号機はこれに該当する。

このため、閉鎖の影響をチェックするため、National Environmental Policy Actに基づく環境評価を作成した。

2018年11月~12月にパブリックコメントを得て、重要な影響がないとの結論を得た。今後、取締役会に提出する。

TVAでは同時に、テネシー州Oak Ridge のBull Run 石炭火力(900MW)についても閉鎖を決めた。

TVA はこれまでに、59 の石炭火力のうち、32を閉鎖してきた。1980年代のピーク時にはTVAは電力の2/3 以上を石炭火力で賄ったが、現在では20%程度に縮小した。

昨年8月以降、Paradise を2020年までに、Bull Run を2023年までに閉鎖することを検討してきた。

TVAのBill Johnson CEOは、今後、石炭火力を天然ガス、原子力、再生可能エネルギーに換え、CO2排出量を減らすとしている。2013年の就任以来、近代化のために150億ドルを投資しており、経済的理由から石炭火力を閉鎖すると述べている。


トランプの就任後の2年で、米国では共和党の石炭産出州への選挙時の約束にもかかわらず、Obama政権の最初の4年間よりも多くの石炭火力が閉鎖されている。

Rick Perryエネルギー相は2017年に連邦エネルギー規制委員会に対し、安く豊富な天然ガスと競争できるよう、石炭火力と原子力発電に対し補助金を出すよう指令した。委員会は昨年、これを拒否したが、石炭火力救済の他の方法を検討する。

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