米国 債務上限と歳出上限

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米国は2018年2月8日につなぎ予算が成立せず、再度の政府機関閉鎖となったが、翌2月9日に3月23日間でのつなぎ予算が成立し、政府機関の一部閉鎖は数時間で終了した。

債務上限については、2017年9月8日に、2017年12月中旬までの債務上限棚上げが決まったが、その期限が切れていた。 つなぎ予算とともに、債務上限を1年間停止することも決まった。

2018/2/10 米国政府機関、再度の閉鎖、数時間後に予算合意で解除

2019年予算については、残っていた一部省庁の予算は、2019年2月14日に両院が可決、トランプ大統領 が2月15日、政府機関が再度閉鎖される期限の数時間前にこれにサインして成立した。
しかし、債務上限については、2019年3月1日に凍結の期限が終了し、その後は借り入れができなくなる。

トランプ大統領の非常事態宣言による壁建設費用の流用により、野党民主党の反発は強く、債務上限の引き上げや凍結が決まる可能性は小さい。予算の成立で政府機関の閉鎖は9月末まではなくなったが、借り入れができないことにより、政府機関が閉鎖される可能性も出てきた。


これまで与野党の対立により、予算と債務上限が犠牲になってきた。今回は予算で一部政府機関の閉鎖が35日にも及んだ。

債務上限については、2011年8月に16兆3940億ドルに引き上げられて以来、正式に決定されず、上限に達すると上限を凍結することを続けてきた。

経緯は次の通り。

2011年に連邦政府の債務が上限の14.294兆ドルに達した。

同年7月31日、
米与野党指導者は、債務上限を2.1兆ドル引き上げて16.394兆ドルにするとともに、その条件として今後10年間で2.5兆ドルの財政赤字を削減することで合意に達した。

2011/8/3 米国、債務上限引き上げ、デフォルト回避 

これ以降は、正式に上限を決めていない。

単位:10億ドル

債務上限
2011/8/2 16,394 上限 14,294 を超過上限引き上げ
2012/12/31 債務上限到達   (合わせて大型減税が期限切れとなり、「財政の崖Fiscal Cliff)」)
2013/1/31 先送り 法定上限を暫定的に引き上げ、
2013年5月18日までに限って向こう3か月分の歳出に相当する額の国債の発行を政府に認める。
2013/5/19 先送り期限到来、債務 16,699
デフォルトを回避するためさまざまな緊急措置を実施し、資金をやりくり
2013/10/16 凍結 国債発行を2014年2月7日まで認める
2014/2/7 期限到来、債務17,212 。やりくり期限は2月27日
2014/2/12 凍結 債務上限の適用を2015年3月15日まで凍結する法案を可決 
2015/3/15 凍結期限終了、債務額18,113が新たな上限、以後、特別な措置でやりくり
2015/10/26 凍結 債務上限凍結を2017年3月15日まで再び延長
2017/3/15 凍結期限終了、債務額19,846が新たな上限
2017/9/8 凍結 2017年12月中旬までの債務上限棚上げ
2018/2/9 凍結 債務上限を2019年3月1日まで1年間停止
2019/3/1 債務上限の凍結期限終了

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もう一つの問題は歳出上限である。

米議会は2011年に、政府債務の悪化に歯止めをかけるため、10年間の歳出上限を定める「予算管理法」を成立させた。

2011年8月2日の期限切れでの米国史上初のデフォルトを目前にし、米与野党指導者は7月31日夜、連邦政府の債務上限を2.1兆ドル引き上げるとともに、その条件として今後10年間で2.5兆ドルの財政赤字を削減することで合意に達した。

2011/8/3 米国、債務上限引き上げ、デフォルト回避 

この予算管理法では、社会保障費などを除く「裁量的経費」に上限を設けている。国防費と非国防費に分かれ、国防費が半分を占める。

上院の与野党指導部は2018年2月7日、国防費などを積み増すため、2018会計年度と2019会計年度(2018年10月~2019年9月)の歳出上限の引き上げで合意した。

今後、2020年度について、民主党の反対で引き上げが出来なければ、国防費、非国防費が大幅に引き下げられることとなる。

単位:億ドル

  国防費 非国防費 合計
法定 特例 法定 特例 法定 特例
2018 5,483 6,283 5,174 5,804 10,657 12,087
2019 5,613 6,463 5,313 5,993 10,927 12,457
2020 5,753 5,447 11,200
2021 5,893 5,571 11,464

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