英国のEU 離脱まで、あと1カ月に迫った。
英国政府は2017年3月29日に「EU離脱通知」を行った。離脱はブリュッセル時間で2019年3月30日午前零時(英国時間で3月29日午後11時)となる。
「EU条約」と「EUの機能に関する条約」は、脱退協定発効日をもって、もしくは協定締結に至らなかった場合は離脱を通告した日から2年以内に、英国に適用されなくなる。EU理事会は、全会一致によりこの期間の延長を決定することができる。
英議会下院は2月27日夜、3月12日までに英と欧州連合(EU)の合意内容が議会で承認されなかった場合、「合意なき離脱」や「短期間の離脱延期」の賛否を議会に問う方針を賛成多数で可決した。
メイ首相の方針では、①まず3月12日までに英・EUで協議中の現行案を採決し、②それが否決された場合は3月13日に「合意なき離脱」の是非を問う。③そこで議会が合意なき離脱の回避を求めた場合には、3月14日に6月末を限度とする「離脱の延期」を議会に諮る。
メイ首相は、今年5月23~26日の欧州議会選挙を考慮し、最長6月下旬までの一度限りの延期を示唆した。
欧州議会は新議会(2019~2024年)の開会初日時点の全加盟国から直接選ばれた議員で構成することが法的に義務付けられており、今回は7月2日がその日に当たる。
欧州議会選挙は5月23日~26日に行われる。
新たな欧州議会が開会する7月2日以降も英国がEUにとどまる場合、英国は欧州議会選挙を実施する必要があるが、欧州理事会は2018年6月29日に英国の離脱を前提に議会の構成に関する決定を採択している。英国のEU脱退によって空席となる73議席のうち、27議席は再配分された。総議席数は751から705に削減された。
これら27議席は、フランス(+5議席)、スペイン(+5議席)、イタリア(+3議席)、オランダ(+3議席)、アイルランド(+2議席)、スウェーデン(+1議席)、オーストリア(+1議席)、デンマーク(+1議席)、フィンランド(+1議席)、スロヴァキア(+1議席)、クロアチア(+1議席)、エストニア(+1議席)、ポーランド(+1議席)およびルーマニア(+1議席)に割り当てられた。
仮に7月2日以降も英国がEUにとどまる場合、各国の議席数を元に戻す必要がある。
離脱の延期には英を除くEU加盟27カ国の賛成が必要になる。
フランスのマクロン大統領は2月27日、「はっきりした見通しがない限り、延期を受け入れることは絶対ない」と英国をけん制した。
ドイツのメルケル首相は、「英国がより多くの時間を必要とするなら、われわれが拒むことはない。ただ秩序ある解決を求めている」と語った。
実際には、6月末まで離脱を延期しても、アイルランド問題が解決する見込みはほとんどない。
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一方、最大野党の労働党は関税同盟への恒久的な残留など、EUとの経済関係を重視した離脱を推進する案を示したが、反対多数で否決された。
このため25日に発表した通り、労働党は国民投票のやり直しの実現にカジを切るとみられる。
労働党のCorbyn党首は2月25日、党として2度目の国民投票の実施を支持するとの声明を発表した。
「合意なき離脱や政府の離脱案を拒否するために、2度目の国民投票の提案やサポートに尽力する」と宣言した。まずはEUの関税同盟への恒久的な残留などEUとの関係を維持した離脱案を議会に提出し、それが否決された場合に再投票を支持する。
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