Johnson & Johnson とBayer、抗凝固剤イグザレルトを巡る裁判で和解

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Johnson & Johnson とBayerは3月25日、患者が経口抗凝固剤「Xarelto®」 を服用して重症になったり死亡したりしたとして米国で訴えられた25千件以上の訴訟で和解した。

両社は原告側に合計 775百万ドルを支払うが、両社は責任を認めないという条件になっている。

和解費用は両社で折半する。Bayerの和解費用の一部は賠償保険でカバーされる。

Xarelto®(一般名 Rivaroxaban)は経口抗凝固薬の一つで、最初に開発された直接第Xa因子阻害薬である。血栓 の予防と治療や、深部静脈血栓症 (DVT)、肺塞栓、脳卒中のリスクを低める目的で処方される。

Bayerにより創製され、Johnson &Johnson子会社のJanssen Research & Developmentと共同開発している。

米国ではJ&JのJanssen Pharmaceuticalsが販売している。

何年もの間、Bayerの儲け頭となっており、J&J は2018年だけで 24.7億ドルの売り上げを計上した。処方箋でのコストは1カ月分で450~540ドルにもなる。

Bayerによると、これまで世界中で45百万人以上に処方されたという。

原告側は、Xarelto を服用して血が止まらなくなり、その結果、重症となったり、死亡した人もいるとする。

ある患者は、脳卒中のリスクを低下させるはずだったが、内出血を引き起こし1週間にわたり入院し集中治療室で過ごすことを余儀なくされ、複数回の輸血と心臓処置が必要になったという。2017年4月にニューオーリンズの連邦地裁陪審に対し、共同開発したJ&JとBayerの重大な副作用の責任を認めるよう訴えた。

2017年5月の最初のNew Orleansでの裁判では、陪審員はメーカー側の勝訴とした。

2017年12月にPhiladelphia County Court の陪審が、内出血のリスクを警告しなかったとして訴えた夫婦に27.8百万ドルの賠償を与えたが、裁判官は2018年1月にこれを覆した。

メーカー2社はこれらの訴えには法的根拠がないとし、Bayerは今回の和解は、訴訟を継続することによる混乱とコストを避けるためのものであるとしている。

イグザレルトの「適正使用情報」には下記の警告が表示されている。

全効能共通

本剤の投与により出血が発現し、重篤な出血の場合には、死亡に至るおそれがある。本剤の使用にあたっては、出血の危険性 を考慮し、本剤投与の適否を慎重に判断すること。
本剤による出血リスクを正確に評価できる指標は確立されておらず、本剤の抗凝固作用を中和する薬剤はないため、本剤投与中は、血液凝固に関する検査値のみならず、出血や貧血等の徴候を十分に 観察すること。
これらの徴候が認められた場合には、直ちに適切な処置を行うこと。

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