窪田製薬ホールディングス、有人火星探査に携行可能な超小型眼科診断装置の開発をNASAから受託 

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窪田製薬ホールディングスは3月18日、下記を発表した。

・ 会長・社長・CEOの窪田良博士がNASAより、有人火星探査を含むDeep Space missionsPrincipal Investigator研究代表に任命されたこと

100%子会社のAcucela Inc.Translational Research Institute for Space HealthTRISH小型OCT開発受託契約を締結したこと

TRISH は、NASAとの共同契約を通じた携により、NASADeep Space missionsにおける宇宙飛行士の精神的、身体的健康保護、維持するための革新的な技術に資金供与を行うコンソーシアム

これにより、同社今後NASAと共同で開発を進める。開発に要する費用はTRISHを通じてNASAより全額助成される。


長期的な
宇宙飛行を経験した宇宙飛行士の約63%視力障害や失明の恐れがある神経眼症候群患っているという研究報告を契機に宇宙飛行中にリアルタイム網膜の状態を計測することへの需要が高まっている。

宇宙飛行に起因する神経眼症候群(Spaceflight Associated Neuro-ocular Syndrome)の主な症状は:
 視神経が部分的に腫れる「
視神経乳頭浮腫
 眼球の後ろが平たくなる
眼球後部平坦化
 眼球後方で網膜の外側にある脈絡膜がしわしわになる「
脈絡膜鄒壁
 
眼底に白いシミができる「綿花状白斑」
 視点の焦点を合わせる屈折に異常
が見られるなど。


現在、これら
の症状の検査で、網膜の断層を撮影する光干渉断層計Optical Coherence TomographyOCTが主に使われており、網膜の厚みや、網膜と視神経乳頭の断層画像を正確に計し、のテストと併用して神経眼症候群の診断や経過観察、治療に活用されている。

現在、国際宇宙ステーション(ISSで使われている市販のOCTには、下記の問題があり、月や火星などへの宇宙飛行時に使用するには適さない
 ポータブルで
ない
 
耐放射線性ではない
 
必要のない機能が搭載されており、システムが複雑で機器自体も大型である

窪田製薬が開発する小型OCTは、耐久性と耐放射線性を備え、型軽量であり、ロケットに搭載して宇宙飛行中の宇宙飛行士網膜の状態を撮影できる新たなOCT機器として、NASAで活用されることが期待されている。

同社では現在、患者が自分で検査をするための在宅遠隔医療モニタリング機器として、超小型OCTを開発している。

OCTの製品イメージ (双眼鏡の大きさ)

窪田製薬ホールディングスは、世界中で眼疾患に悩む患者の視力維持と回復に貢献することを目的に、イノベーションをさまざまな医薬品・医療機器の開発及び実用化に繋げる眼科医療ソリューション・カンパニー。

慶應義塾大学医学部眼科学教室の客員教授であり、会長、社長兼CEOの窪田良博士が、2000年に渡米し、2001年に独自の細胞培養技術を発見、2002年に「世界から失明を撲滅する」ことを目標に、変性眼疾患の治療法および医薬品のスクリーニング・システムの開発を目的として、シアトルの自宅地下室で Acugen Neuropeutics Inc.を設立した。

2003年に社名をAcucela Inc.に変更、2015年に日本に子会社アキュセラ・ジャパン(その後、窪田製薬ホールディングスに改称)を設立した。

2016年12月に三角合併で窪田製薬ホールディングスを本社、米国のAcucela Inc.を完全子会社とした。


米国
子会社のAcucela Inc
.が研究開発の拠点となり、革新的な治療薬・医療技術の探索及び開発に取り組んでいる。

社独自の視覚サイクルモジュレーション技術に基づく「エミクススタト塩酸塩」において糖尿病網膜症およびスターガルト病への適応を目指し研究を進めている。
た、白内障や老視老眼の薬物治療を目的とした低分子化合物の研究開発、網膜色素変性における視機能再生を目指す遺伝子療法の開発を実施している。

同時に、糖尿病黄斑浮腫、ウェット型加齢黄斑変性など血管新生を伴う疾患の治療を目指し、生物模倣技術を用いた低分子化合物の研究開発も進めている。

在宅・遠隔医療分野(モバイルヘルス)では、
PBOS患者が自分で検査をするためのOCTデハイス)などクラウドを使った医療モニタリングデバイスの研究開発も手掛けている。

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同社の2018年12月期決算では、収益はゼロ、費用は3,274百万円(うち開発費 2,479百万円)となっている。

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