ロイター通信によると、大連のほか、丹東や盤錦など遼寧省内にある計5つの港で豪州産石炭の通関ができなくなった。ロシアやインドネシアといった豪州以外の国からの石炭は影響を受けていないという。
中国外務省の耿爽副報道局長は2月21日の記者会見で「安全や品質リスクの検査や分析をしている」と述べ、輸入禁止を暗に認めた。目的については「中国企業の合法的権益や環境、安全を守る」と主張した。
豪州にとって中国は石炭の主要な輸出先で、今回の措置は豪経済への一定の影響が避けられそうにない。
豪州と中国の間では最近、緊張が高まっており、今回の措置は中国政府による豪州政府への圧力ともみられる。
① Huawei 問題
Huawei 副会長の逮捕について、駐カナダ中国大使昨年12月13日付でThe Globe and Mail 紙に投稿した。
Huaweiは、グローバルな事業は現地の法や規制に厳格に従っていることを公的に何度も表明している。しかし、Five Eyes countriesの諸国は、何の証拠もなく、Huaweiが彼らの国家の安全を脅かす存在であると非難している。そのような推測をもとに、恐怖の種を撒き、国民をミスリードしている。
2018/12/22 駐カナダ中国大使のカナダ紙への投稿
Five Eyes は5カ国の諜報機関(アメリカ国家安全保障局、英政府通信本部、カナダ通信保安局、豪 参謀本部国防信号局、NZ 政府通信保安局) で、UKUSA協定を結び、世界中に張り巡らせたSIGINTの設備や盗聴情報を相互利用・共同利用する為に協定を結んでいる。
豪州政府は8月に、次世代通信規格「5G」の通信網について、「安全保障上の懸念」から、Huawei とZTEの参加を認めない方針を出した。ニュージーランドでも、同国政府が、華為製品の使用は「国家安全保障上の重大な危機」があると警告したため、同国大手通信事業者が11月下旬、5Gの整備で華為製品を使用しないと発表した。
②中国人富豪の永住権取り消し
同氏は中国共産党がバックアップする在豪中国人団体のトップを務め、近年豪州に対する中国の浸透工作において中心的な人物とされ、 スパイ疑惑もある。
黄氏は2001年に深圳で不動産企業を創業し、2011年に豪州に移住した。豪州でも不動産売買で成功を収め、豪州の2大政党に合わせて270万豪ドル(約2億1千万円)の政治献金をしてきた。
さらに、2013年にシドニー工科大学に180万豪ドルを寄付し、豪中関係研究所を設立した。 その後、研究所の出版物が「共産党の宣伝品のようだ」と批判され、大学は研究所を解散した。
豪州の情報当局は2015年、黄氏など複数の中国人が共産党とつながっていることを指摘し 、国会議員がこれらの人物から資金提供を受けることは「危険」だと警告していた。
黄氏は昨年11月に豪州を出国し、現在香港に滞在している。
連邦議会は昨年、外国からの政治献金を禁止する改正選挙法を可決させ、外国人のスパイ活動などを阻止する法律も通過させた。
オーストラリア議会は2018年6月28日、外国のスパイ活動や内政干渉の阻止を目的とした複数の法案を可決した。
可決された法案はスパイ行為に対する罰則を強化した他、オーストラリアの内政に影響や害悪を与えようとする外国当局による秘密工作、欺瞞工作、脅迫行為などを対象とする新たな罰則が定められた。また外国による政治干渉を透明化するため、外国の政府や企業の代理人となる個人や団体には登録を義務付けた。
オーストラリアの情報機関は、中国政府が政治献金制度を使ってオーストラリアに影響力を行使しているとの懸念を表明していた。
オーストラリア政府は法案通過後の声明で「スパイ活動および外国の干渉はオーストラリアの安全保障と国防に著しいリスクとなっている」「敵対的な外国当局が、機密情報の入手やオーストラリアの民主的手続きへの影響力行使といったさまざまな手法でオーストラリアの国益に反する活動を積極的に行っている」と指摘した。
これに対し、中国政府は、オーストラリアの内政に中国が介入したという報道は「ヒステリー」「妄想」だとして激しく否定し、両国関係は冷え込んだ。
今回の件については、ペイン外相によると、現在中国当局からの抗議はない という。
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