再び中西経団連会長の発言

| コメント(0)

 

経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が昨年末の報道各社とのインタビューで、今後の原発政策について次のように述べたとされる。(2019/1/5 東京新聞)

東日本大震災から8年がたとうとしているが、東日本の原発は再稼働していない。

国民が反対するものはつくれない。全員が反対するものをエネルギー業者や日立といったベンダーが無理につくることは民主国家ではない。

真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。

不思議なことに、中西会長のこの発言を一部メディアは取り上げたが、東京新聞以外は大手新聞、テレビは全く取り上げていない。

中西会長は1月15日の記者会見で一転して次のように述べた。

原発の再稼働が進まないことも直近の課題であり、積極的に推進するべきである。

安全性の議論が尽くされていても、地元の理解が得られない状況に立ち至っている。
その説得は電力会社だけでできるものではなく、広く議論することが必要になっている。それにもかかわらず、原子力について真正面からの議論が足りていない。

再生可能エネルギーだけで賄うことは到底不可能である。原子力技術を人類のために有効に使うべきである。

日刊ゲンダイは、安倍官邸から怒られたのではないか、という見方が流れていると報じ た。

2019/1/23 原発問題についての中西経団連会長発言 

ーーー

中西会長はその後、「原子力に関する議論が不足している」などと繰り返し発言してきた。

これを受け、小泉純一郎元首相が顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が2月14日、経団連に対し、原発問題に関する公開討論会の共催を呼びかけた。

小泉元首相は2017年4月14日、細川元首相とともに「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)を発足させた。

2018/2/16 小泉元首相の原発反対運動 

推進連盟の吉原毅会長(城南信用金庫顧問)によると、小泉氏は討論会について「素晴らしい。実現すれば私も出る」と前向きという。

しかし、経団連は2月18日、これを拒否した。「反原発を通す団体で議論にならない。水と油だ」とした上で、今春、エネルギー政策に関する提言をまとめることを優先する考えを強調した。

これについて中西会長は3月11日、「エモーショナルな反対をする人たちと議論をしても意味がない。絶対いやだという方を説得する力はない」と語り、改めて議論を拒む姿勢を示した。

原発について、「再生エネルギーだけで日本の産業競争力を高めることができればいいが、技術開発が失敗したらどうするのか。いろんな手を打つのがリーダーの役目だ」と指摘。「多様なエネルギー源を確保しなければ日本は立ちゆかなくなる。福島の事故から何年たとうが変わらない」と話し、電力業界への積極的な投資を呼びかけた。


中西会長は2月14日、中部電力浜岡原発を視察した。中西会長は「万全な対策という印象を受けた。早く再稼働したいと正直そう思う」と述べた。

さらに「原子力エネルギー抜きに、今の気候変動に対応できない。長期的に考えても、着実なエネルギー源はない」と指摘。「核エネルギーを利用しないで、人類は繁栄できないというのが私の信念だ」と述べた。

「原発の再稼働への理解が深まっていないようだが」との記者団からの問いかけに、「原発と原子力爆弾が頭の中で結び付いている人に(両者は)違うのだと分離するのは難しい」と述べた。

これについて、御前崎市の柳沢市長は2月18日、「地元住民は原発と原爆の違いを十分、分かっている。適切ではない」と述べた。原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟の木村事務局次長は「原発も原爆も危険なことには変わりはない。住民は勘違いしていない」と批判している。

中西会長は2月25日、「表現として不適切だった」とで訂正した。「ちょっと失礼だった」と反省の弁も口にした。


中西会長は、「
地元の理解が得られない状況に立ち至っている。その説得は電力会社だけでできるものではなく、広く議論することが必要になっている。それにもかかわらず、原子力について真正面からの議論が足りていない 」と述べた。反原発を主張する団体との議論を拒否していては、いつまでも地元の理解は得られないだろう。

コメントする

月別 アーカイブ