韓国の地震、原因は地熱発電の開発

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2017年11月15日、韓国慶尚北道浦項付近でマグニチュード5.4の地震が発生した。震源は浦項市北区の北側9キロで、深さは9キロ。

これは2016年9月の慶州付近で発生したM 5.8 の地震に次ぐもので、1978年の韓国気象庁の観測開始して以降の2番目のもの。

広範囲の建物が損壊し、118人が重軽傷を負い、約85億円の財産被害が出た。政府は一帯を特別災難地域に指定し、現在も復興事業を進めている。

この地震の原因として、浦項市興海邑の浦項地熱発電実証研究施設の活動が指摘され、政府は2018年3月に国内外の専門家で浦項地震調査研究団を構成し、調査分析作業を始めてきた。

政府は3月20日、周辺で進めている地熱発電開発が原因だったと発表し、謝罪した。国策による開発が拙速だったとの指摘も上がり、被災者が政府に賠償を求める騒ぎになっている。

政府調査団の調べでは、地熱発電の開発で地下に高圧の水を注入したため、時間の経過によって地震を引き起こしたとみられる。

地下に注水することで地震が発生しやすくなる現象は、シェールオイルの掘削が進む米オクラホマ州などでも知られている。水によって地下にかかる力が変化することが原因と考えられている。

2012/5/1  シェールガス採掘で地震誘発 

2010年に国家研究開発課題として地熱発電開発を始めるまで、周辺で大きな地震は発生していなかった。

政府は開発の中断を決めた。
 

政府調査研究団が、地熱発電が浦項地震を触発した原因と指定したのは、地熱発電活動で誘発された微小地震が起きた平面と浦項地震を起こした断層面解が一致するという事実が決定的な根拠になった。

調査研究団団長によると、「研究チームが最も尽力したのが震源の位置決定だ。浦項地震が地熱発電の地熱井から数キロメートル以上離れていれば解釈が変わりうるため」と話した。

2009年1月1日以後に浦項地域で発生した520回の地震のうち、地熱発電実証研究敷地から震央までの距離が5キロメートル以内、震源の深さが10キロメートル以内の98回を対象に精密地震位置分析をした。その結果、2本目の地熱井(PX-2)から水を注入して誘発された微小地震がほとんど平面に近い分布様相を見せ、さらにこの平面が浦項地震本震の断層面解の走向と傾斜がほぼ一致していることを明らかにした。

韓国地質資源研究院による浦項地熱発電実証研究は、2010年12月に始まり、二本の地熱井をボーリングして2016年1月から2017年9月28日まで5回にわたり1万2800余立方メートルの水を注入し、7000立方メートルの水を取り出す水理作業をした。この期間に数十回の微小地震が発生した。3回目の水注入が終わった2017年4月15日には、最も大きい規模3.2の地震が起きた。

研究団は、浦項地震を誘発(induced)地震ではなく、触発(triggerd)地震と表現した。

誘発地震は水の注入による圧力と応力の変化で岩石の空間的範囲内で起きる地震
触発地震は人為的影響が最初の原因だが、その影響で刺激を受けた空間的範囲を大きく外れた規模の地震

浦項地震は、誘発地震の範囲を越えているが、自然地震と区別するために触発地震という用語を使った。

浦項地区は火山地帯ではなく、そういう場所でMW級地熱発電所を作るのは国内ではもちろん、アジアでも初めて。

今まで非火山地帯で地熱発電ができなかった理由は、温度が充分ではなかったためだが、関連技術が発展することで火山地帯ではなくても地熱発電が可能になった。

韓国地質資源研究院の調査結果、浦項市興海邑南松里一帯の5キロメートル地下の温度は最大180度ということが分かり、地熱発電の最適地として選ばれた。

この地域は,韓国では厚い第三紀層で覆われており,これがキャップ・ロックの役割を果たす。

2017年2月の計画では、2017年の年末に1.2MW規模の発電を行い、2018年に約80億円を投じて5MW規模の発電所をつくるとしていた。

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