米政府は4月22日、イラン産原油の禁輸措置について、日本を含む8カ国・地域に対する適用除外措置を5月1日から撤廃することを決定した。撤廃後にイランから原油を輸入すれば米国の制裁措置の対象となる。
ポンペオ国務長官は記者会見で、米政府の目標はイランの原油輸出をゼロにすることだとし、「今後はいかなる除外措置も認めない。イランの原油輸出の全面的なゼロを目指す。イランが普通の国になるまで圧力を続ける」とした。サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)と原油の適切な供給に向けて協力していると説明した。
一方、イランの石油省当局者は、「イランは米国の許可がなくても原油の輸出を継続できる」と強調した。
イラン革命防衛隊幹部も原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を閉鎖すると警告した。
今回の米国の決定にトルコは反発し、「一方的な制裁や、近隣諸国と関係を構築する上での押し付けは受け入れない」と強調、地域の平和や安定につながらないとの考えを示した。
中国外務省の耿爽報道官は定例記者会見で、中国は一貫して米国の一方的な対イラン制裁に反対しており、中国とイランの二国間協力は法にのっとったものだと述べた。
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トランプ米大統領は2018年5月8日、欧米など6カ国とイランが結んだ核合意から離脱すると表明した。核合意に基づく対イラン経済制裁を再開する大統領令にも署名した。
2018/5/10 トランプ大統領、イラン核合意離脱表明
制裁内容は次の通り。
①2018年 8月6日
各企業はイラン国債ないしイラン通貨の保有を段階的に縮小しなければならない。
イラン政府のドル獲得ないし買い増しを助ける個人ないし企業はこの日までに制裁を科される。
イランの金などの貴金属、黒鉛・石炭、アルミニウムや鉄鋼などの金属の貿易や、イラン自動車業界、じゅうたんやキャビアなど高級品への制裁も8月6日に再開される。
②2018年11月5日
イランの石油業界とビジネスを行っている企業への制裁は11月5日に再開される。これにはイラン中銀と大きな取引を行っている外国金融機関への制裁も含まれる。
さらにイランのエネルギー業界に制裁を科すほか、イラン国営石油などの企業との石油関連取引も対象とする。
トランプ政権は制裁解除の条件として、全ての核関連施設での国際原子力機関(IAEA)の査察受け入れや弾道ミサイル開発の停止など12項目を満たすようイランに求めている。
米国は11月5日午前0時過ぎから、イランへの制裁を再開した。ホワイトハウスは制裁が「史上最強」のものになると強調している。
今回の制裁では、石油輸出、船舶、金融など経済の重要部門全てが対象になる。
今回の制裁は、700以上の個人、組織、船舶、航空機が対象となる。この中には大手銀行、石油輸出企業、船舶会社も含まれる。
ポンペオ長官によると、すでに20カ国超がイランからの原油輸入を日量100万バレル超減らしているという。
長官は、イラン産原油の主要輸入国である日本、中国、インド、韓国、トルコ、ギリシャ、イタリア、台湾に対しては、180日間イラン産原油の輸入を容認する方針を明らかにした。
これらの国が既に「イランからの原油輸入を大幅に減少」させているが、「輸入量をゼロにするには、もう少しの時間」が必要と語った。2カ国がイランからの石油輸入を最終的に止め、残る6カ国も大幅に輸入量を減らすだろうと述べた。
2018/11/8 米国、イラン経済制裁を再開
今回、この180日間の期限が過ぎ、例外処理を無くすもの。
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当初は輸入容認の情報はなく、禁輸が11月5日に発動されると想定されたため、日本の元売り各社は、銀行決済や輸送の時間を考え、10月分から輸入を停止していた。
発動当日に日本を含む8カ国の適用除外が発表され、12月頃から輸入が再開された。
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