米石油大手 Chevronは4月12日、米石油・ガス開発のAnadarko Petroleum を330億ドル規模で買収すると発表した。
買収提示額は1株当たり65ドルで、4月11日終値に39%上乗せした水準。75%がChevron株式、25%が現金払いで、Anadarko株主は1株当たり現金16.25ドルとChevron 株 0.3869株を受け取る。
Anadarkoの債務150億ドル込みでの買収で、これと非支配持分の価値を加えると、企業価値は総額で500億ドルとなる。
同時期にOccidental Petroleum もAnadarkoを1株70ドル(現金と株式)で買収する提案をしていたが、Chevronに敗れた。
Occidental Petroleumの提案はChevron案よりも価格が5ドル高く、現金部分が多かった。
但し、Occidentalの提案にはAnadarko側に望ましくない条項が入っていたという。
買収により、Chevronは石油業界で3位になる。
Anadarko買収によってChevronはテキサス州とニューメキシコ州にまたがるパーミアン盆地のシェール油田の権益と生産が拡大するほか、メキシコ湾でも事業を強化できる。
Chevronは国内最大のシェール油田地帯、パーミアン盆地への投資を拡大してきたが、ブームの初期段階で機会を逃す一方、Anadarkoなどの独立系生産企業が掘削技術を開発、土地を安く借り受けたとされる。
Anadarkoは、モザンビークのLNG事業にも取り組んでいる。
Chevronは今回の取引の効果を次の通りとしている。
• 事業戦略の強化
o Shale & Tight ガス -最も魅力あるパーミアンのデラウェア盆地に計幅75マイルの回廊地帯を持つことになる。
o Deepwater - Chevronの地位を強化
o LNG - Mozambique LNG事業を入手
• Synergies: 税引前で年間10億ドルのシナジーあり。投資を10億ドル削減できる。• Accretive to Free Cash Flow and EPS
• 2020~2022年に150~200億ドルの資産売却を行い、負債の減少、株主への配当に充てる。• free cash flowの増加で、自社株買いを 年間40億ドルから年間50億ドルに増やす。
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Anadarko の活動分野は次の通り。
Anadarkoはまた、Western Midstream Partners, LP の55.5%の持分を持つ。Rocky Mountains, North-central Pennsylvania、Texas にまたがって、天然ガス及びLNG・原油等の採集、処理、輸送を行っている。
Anadarkoは、モザンビークのLNG事業にも取り組んでいる。
モザンビークとタンザニアの国境を流れるRovuma川の河口と沖合に世界最大規模のガス田が発見され、開発が始まっている。
モザンビークの海底ガス田の開発は6区に分けて行われており、AnadarkoはArea 1の権益を持ち、三井物産が参加している。
Anadarkoは既に多くのLNG供給契約を締結している。
当初 現在 Anadarko (オペレーター) 76.5% 36.5% Mitsui E&P ー 20% モザンビーク国営石油会社 15% 15% Bharat Petroleum(インド) ー 10% Videocon (インド) ー 10% Artumas Group(現 Wentworth Resources) 8.5% ー PTT Exploration & Production (タイ) ー 8.5% 2013/1/10 モザンビークの天然ガス開発
2018/2 フランス電力会社EDF 年間120万トン/15年間 2018/10 東北電力 年間28万トン/15年間 2019/2 中国海洋石油集団(CNOOC) 年間150万トン/13年間 東京ガス/と英国ガス大手Centrica 年間260万トン(2040年初頭まで) Shell International Trading Middle East 年間200万トン/13年間 Anadarkoでは、「モザンビークは今後数十年間、世界の重要なLNGサプライヤーとなるだろう。LNG長期契約は年間750万トンに積み上がり、残りのLNG売買契約(年間450万トン)も近い将来に見込まれている」としている。
LNG能力は、Eni 主導のArea 4との共同で年産2,000万トンで、Area 1分はこのうち 1,200万トン。
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