米連邦通信委員会(FCC)は4月17日、中国国有通信最大手、中国移動(China Mobile)の米国参入(2011年申請)を認めない方針を明らかにした。
FCCのPai委員長は声明で、China Mobileが米国で通信事業に参入すれば「重大で深刻な安全保障上のリスク(substantial and serious national security and law enforcement risks)となることは明らかだ」と述べ、通信事業免許の申請を却下する方針を明らかにした。
5月9日の会合で正式決定する。(付記 正式決定)
中国政府のスパイ活動などを念頭に安全保障上のリスクが大きいと判断した。
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China Mobile は2011年9月1日、米国と海外をつなぐ通信サービス事業の免許を申請した。米国と外国との国際電話サービス提供を望んでおり、米国内でモバイルサービスを展開するつもりはないとしていた。
これに対し米国当局は中国政府によるサイバースパイを懸念した。FBI、国土安全保障省、司法省、国防総省がTeam Telecom を編成し、延々と検討を続けた。
China Mobileが米国の通信網とつながれば、中国政府がスパイ活動に取り組んだり、大規模障害を仕掛けたりするリスクを考慮したという。
米商務省の電気通信情報局は2018年7月2日、連邦通信委員会(FCC)に対し、国家安全保障上の理由からChina Mobile による参入申請を却下すべきだと勧告した。
China Mobile の申請は「容認できない国家安全保障と法執行上のリスクを突き付ける」と米情報機関などの当局者が結論付けたとし、China Mobile は「完全国有会社」であり、「中国政府に利用・操作されやすく、影響を受けやすい」と指摘した。
「世界の通信市場の統合深化に伴い、さまざまな悪質な行為が頻繁に行われているセクターにリスクと脆弱性が生じている」と説明。中国政府は China Mobileが築くつながりを利用して、経済スパイや情報収集を行う可能性があると指摘した。
中国のスパイ活動を懸念する米国側は、中国が米国内にいる中国市民を監視することも警戒している。
FCC はこれを検討するとしていた。
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