米司法省、GE元技術者ら産業スパイで起訴 

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米司法省は4月23日、General Electric のガス・スチームタービン技術を中国に持ち出した産業スパイの罪で、GEの元技術者ら2人を起訴したと発表した。金銭的な支援など、背後に中国政府の関与があったと指摘した。


起訴したのはNew York州在住の中国系米国人の元技術者 鄭小清(Xiaoqing Zheng)と、遼寧省に住む中国人事業家の張兆禧(Zhaoxi Zhang)の2人。

鄭小清はGE Power & Waterに勤務中にGEのタービンの設計情報などの電子ファイルを盗み出し、中国に住む張兆禧に情報をメールで送るなどした疑いがある。産業スパイや企業秘密の窃取など14件の罪で起訴した。

鄭小清は4月23日、ニューヨーク州の裁判所に出廷し、無罪を主張した。

起訴資料によると、2人は盗んだ資料を自ら設立した中国のタービン部品メーカーの遼寧天一航空技術と南京天一航空技術で利用した。

また、盗んだ資料が中国の役に立つと考えて産業スパイを行い、中国政府から資金その他の支援を受けた。政府の斡旋で瀋陽航空航天大学、瀋陽発動機設計研究所、中国淮海工学院などと の間でタービン技術の開発のための契約書を締結したとしている。

FBIによると、39枚のGEのデザインとフローチャート用紙を暗号化し、そのファイルを一見無害な夕焼けのイメージコードに埋め込み、個人用メールボックスに送信したという。

鄭小清は、GE Power & Waterで10年近く働いて いる。中国の海外ハイレベル人材招致の「Thousand Talents Program:千人計画」に選ばれている。

千人計画の対象は以下の諸条件のいずれに該当する者:

  • 海外の著名な高等教育機関、研究機関において教授またはそれに相当するポストに就いた者
  • 国際知名企業と金融機関において上級管理職を経験した経営管理人材及び専門技術人材
  • 自主知的財産権をもつ、またはコア技術を把握している;海外での起業経験を持ち、関連産業分野と国際標準を熟知する創業人材
  • 中国が至急に必要とするその他のハイレベルイノベーション創業人材

2018年6月、米国防省は米下院軍事委員会の公聴会で、同プログラムの目的は米国の知的財産を獲得することにあると警告した。

米中貿易摩擦勃発後、「技術窃盗のためのプログラム」との見かた強くなった。数人の在米中国人技術者がFBIに逮捕され、同計画は「入獄計画」と揶揄されている。

中国教育部は昨年、一部の大学に対して、同計画の情報を削除するよう指示したとの情報がある。




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