米中通商協議で3つの相違点

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中国の劉鶴副首相は5月10日、ワシントンで米中閣僚協議を終えたあとに中国のメディアとの共同インタビューに応じた。

発言内容は次の通り。

中国と米国の関係は非常に重要だ。中国と米国の協力が唯一の正しい選択だが、原則に基づくべきで、中国は原則に係る重要な問題については決して妥協しない。

経済問題、貿易問題は単に両国の関係にとどまらず、世界の平和と繁栄に関係する。

今回、中国代表団は米国側と率直で建設的な意見交換を行った。双方は協議を継続することで合意した。

中国は米国の追加関税に強く反対する。中国と米国に有害であるだけでなく、世界全体にとっても有害だ。中国は必要な対抗策をとる。


合意は平等で相互に有益である必要がある。双方は多くの点で重要な合意に達したが、中国にとって3つの問題点が残っている。

第一は、全ての追加関税を廃止すること。これが現在の貿易紛争の出発点で、双方が合意に達した場合、完全に撤廃する必要がある。(米国は中国の約束実行をみながら順次廃止する意向)

第二は、(中国による米国品の)購入量は現実的であるべきだ。昨年12月1日の両国のトップ会談で量について合意したが、勝手に変えるべきでない。(米国が無茶な増量を要求したか?)

第三は、協定案の文言のバランスで、どの国にも尊厳があり、文言はバランスが取れる必要がある。いくつかの重要な問題で更なる議論が必要だ。(米国案に中国にとって侮辱的な表現がある?)

昨年以降の双方の協議で いろいろ (up and down) があったが、これは当たり前のことで、双方がまだ交渉をしているのに、一方が他方を「撤回した ("backtracking") 」と非難するのは無責任だ。


中国には巨大な国内需要があり、サプライサイドの改革で中国製品、中国企業の競争力が高まる。財政政策、金融政策の余地も十分にある。中国経済は非常に楽観的だ。

発展途上で時に紆余曲折があることは、対応能力のテストになるため、よいことだ。

中国共産党と習主席の強力な指導のもと、中国国民が自信を持ち、ともに努力する限り、中国はいかなる困難も恐れず、持続可能で健全な経済発展を維持できる。

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これに対し、Trump大統領は中国が約束を撤回したことに怒り、追加関税を決めた。

Trump大統領は5月5日、中国の知的財産権侵害などを理由に2000億ドル分の同国製品に課す関税を、5月10日から現在の10%から25%に引き上げると表明した。

大統領は5月8日、フロリダ州で開かれた支持者集会で、「中国が約束を破った。そんなことは許さない。だから中国は代償を払うことになる」と述べた。

"I just announced that we'll increase tariffs on China and we won't back down until China stops cheating our workers and stealing our jobs, and that's what's going to happen, otherwise we don't have to do business with them."

"They broke the deal. They can't do that. So they'll be paying. If we don't make the deal, nothing wrong with taking in more than US$100 billion a year."

米ブルームバーグ通信によると、北京での閣僚協議で中国側が、外国企業に対する技術移転強要を是正する法整備を拒否した。ライトハイザー氏からその報告を受けた大統領が怒り、追加関税を課す対中制裁の強化を決めたという。

大統領は、中国が約束を破ったのは、中国が次期大統領に民主党のJoe Bidenか誰かがなると思い、再交渉して今後何年も米国から毎年5000億ドルをふんだくろうとしているのではと見ている。

そんなことは起こらないとし、毎年1000億ドルの関税を徴収し、それで農民から農業製品を買い取り、それを世界中の貧しい人々に与えるのだ。Make America Great Again ! と述べた。

The reason for the China pullback & attempted renegotiation of the Trade Deal is the sincere HOPE that they will be able to "negotiate" with Joe Biden or one of the very weak Democrats, and thereby continue to ripoff the United States (($500 Billion a year)) for years to come.

Guess what, that's not going to happen! China has just informed us that they (Vice-Premier) are now coming to the U.S. to make a deal. We'll see, but I am very happy with over $100 Billion a year in Tariffs filling U.S. coffers...great for U.S., not good for China!

We will then spend (match or better) the money that China may no longer be spending with our Great Patriot Farmers (Agriculture), which is a small percentage of total Tariffs received, and distribute the food to starving people in nations around the world! GREAT! #MAGA

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本ブログは2018年9月にこう述べた。

仮に閣僚級協議を開催しても、中国としては、LNGや大豆の輸入拡大で対米黒字を減らすことは出来るが、Trump の要求する「Made In China 2025計画」の取り下げは中国の将来のためにも、メンツからも応じる筈がなく、問題の解決は難しい。

現在の米国の対中要求は協議の貿易問題ではない。LNGや大豆などの輸入拡大 による米国の対中貿易赤字削減は簡単である。

底にあるのは、中国が国の資金を投じて製造大国となり、米国を脅かすことであり、これを止めるよう求めている。 米国と中国の覇権争い問題である。

中国としては、降りられる話ではない。米国がこれにこだわる限り、解決は難しい。

  

Made in China 2025計画

2015年までに製造業規模世界第一位、世界の製造業大国になり、
ステップ1で、2025年までに、格差縮小、十点突破で製造強国の仲間入りを果たし,
ステップ2で、2035年までに工業化の実現により製造強国の中位レベルに到達する。
ステップ3で、建国100周年の2049年までにイノベーション先導で製造強国の先頭グループに入るとの目標を掲げている。

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