ジャパンディスプレイ、5年連続赤字

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経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI) は5月15日、2019年3月期の決算を発表した。

減収で、最終損益は1,094億円の赤字となり、5年連続赤字となった。昨年に続き、大幅な特別損失を計上した。 この結果、資本勘定は債務超過寸前となった。


同社は4月12日、台湾の電子部品メーカーなど3つのグループで構成する台中連合から800億円の金融支援を受けると発表した。

2019/4/15 ジャパンディスプレイ、台湾・中国のグループから金融支援800億円受け入れ 

当初予定では6月18日のJDIの定時株主総会で最終的に承認を受ける予定だったが、台中連合が金融支援に必要な機関決定を延期すると相次ぎ表明しており、間に会わず、改めて臨時総会を開く見通し 。

JDIの業績悪化や、米国と中国の紛争による今後の見通しが不透明なことから、仮に台中連合からの資本注入が出来なくなれば、資金繰りが苦しくなる。


業績の推移は下記の通り。

単位:億円
売上高 営業利益 経常利益 特別損失 当期純利益
2014/3 6,146 276 191 -23 339
2015/3 7,693 51 19 -236 -123
2016/3 9,791 167 -129 -150 -318
2017/3 8,844 185 -89 -24 -317
2018/3 7,175 -617 -937 -1,437 -2,472
2019/3 6,367 -310 -442 -752 -1,094



2年連続で計上した特別損失の内容は次の通り。

2018年3月期 固定資産減損損失 1,038億円
海外子会社整理損 155億円
棚卸資産評価損 116億円
その他 128億円
合計 1,437億円
2019年3月期 白山工場資産減損 747億円
その他 5億円
合計 752億円


白山工場は
第6世代(1500×1850ミリメートル)液晶新工場で、1,700億円を投じて建設し、3年前に完成したばかり。

投資資金の大半はAppleからの前受け金1700億円で賄っており、この契約の条件を果たさない場合、Appleは即時全額返済又は工場差し押さえの権利を持ち、再建策の足かせとなっている。


この結果、同社の資本勘定は28億円で、債務超過寸前となっている。

2018/3/31 2019/3/31 増減 要因
資本金 969 1,144 175

増資350億円
 海外投資家 300億円
 日亜化学 50億円

資本剰余金 2,136 2,311 175
利益剰余金 -2,333 -3,427 -1,094

当期純損失

合計 772 28 -744


同社は構造改善策を発表した。

・1,000人規模の早期既報退職を上期中に募集

・役員報酬及び管理職等の賞与減額等

構造改革費用は約100億円、効果は年間ベースで約200億円と見ている。

社長は人員削減について「事業を守るために(雇用の)縮小を考えざるをえない。断腸の思いで、重く責任を感じている」と語った。




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