LG Chem、リチウムイオン電池技術の盗用で米国で SK Innovationを提訴

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LG Chemは4月30日、SK InnovationがLG技術者を採用することにより、リチウムイオン電池技術を盗用したとし、LGの米国子会社と共同で、米国国際貿易委員会(USITC)Delawareの連邦地裁提訴したと発表した。

USITCに対し、LGの企業秘密を侵害するリチウムイオン電池のサンプルと基盤技術を米国に輸入するのを止めるよう求めている。

USITCは米国産業に対して損害を与えるダンピングや輸入品の商標、特許および著作権等知的財産権の侵害などを調査分析し、不公正な貿易を是正することを目的に設立された連邦政府の独立機関で、委員会が行う決定は、通関を禁止する排除命令と販売を中止する停止命令の2種類。

地裁への提訴は、損害賠償請求のため。

付記 米国国際貿易委員会は5月29日、調査開始(discovery)を決定した。

SK Innovation はEV用リチウムイオン電池では後発で、2012年に韓国で大量生産を開始した。韓国のほか、中国の常州に工場を持ち、ハンガリーで建設中。ドイツのDaimler AG やVolkswagen に供給している。本年3月にGeorgia州でEVバッテリー工場の起工式を行った。

2018/12/4 SK Innovation、米に電気自動車バッテリー工場を建設

LGとしては、サンプルや基盤技術の米国への輸入を阻止し、米国での生産活動を妨げようとするもの。

LGの主張は次の通り。

SK Innovationは、LGのリチウムイオン電池部門の77人の高度の技術と経験を持つ従業員を雇用し、LGの企業秘密を取得した。

この技術はLGが世界で初めて商業用に開発した自動車用のパウチ型リチウムイオン電池で、世界中の自動車メーカー、家電メーカーに採用されている。

77人のなかには、最新型の電池を含むリチウムイオン電池のR&D、製造・組み立て、品質保証テストを担当する数十人のエンジニアを含んでいる。

その多くが、SKがパウチ型リチウムイオン電池の開発、製造をするのに役立てるべく、LGの企業秘密を盗んだ。

社内調査の結果、彼らはLGの秘密を盗み、それをSKに提供することで採用してもらっている。SKへの入社のための申請書や履歴書がLGのコンピュータに残っている。例えば、一人は電極製造プロセスに関する秘密情報をSKへの履歴書のなかに挿入していた。何人かはSKへの転職の前にLGのデータサーバーから400~1900件の技術資料をダウンロードしていた。

77人の転職が始まった2016年末から本年初めまでに、SKのEV電池の契約数量は14倍以上に増えている。

LGは以前に、韓国での同様のケースでSKに移動した5人の元従業員を競業禁止条項違反で訴えている。韓国最高裁は、LGの秘密情報が洩れる恐れが実際にあるとして競業禁止条項の発動を認めている。それにもかかわらず、SKは今に至るまでLG従業員を勧誘している。

これに対しSKは、「当社は透明でオープンな採用手続きにより従業員を採用している。裁判の席で説明する」としていた。

しかしLGは攻勢を強め、5月2日には「後発企業が技術開発に投資することなく、先発企業の企業秘密を簡単に利用するなどということが受け入れられるなら、今後、誰も大胆な投資などしない」と述べた。

これを受け、SK Innovation は5月3日に反論を発表した。

もう黙っておれない。競争相手が根拠のないことを述べ続けるなら、法的活動を含め、強く対応する。

SKはLGの技術を必要としない。提供するといっても断る。R&Dに大量の投資を行い、世界でベストの技術を既に確保している。また、LGの技術や生産方法と異なっているためだ。

LGの従業員を採用したのは通常の採用手続きによっており、技術を得るために競合会社から従業員を引き抜く必要はない。

LGの元従業員によると、多くの従業員がLGの待遇がひどいので辞めており、SKに入ったのはそのうちの76人に過ぎない。その多くは一般の労働者で、高位のものはごく少ない。技術が欲しくて採用するなら、一般労働者など雇わないはずだ。

LGは自社の待遇が悪くて従業員が辞めたのをSKのせいにしているのではないか。LGの元従業員の一人は、LGは他社を訴える時間があるなら自社の従業員の待遇を改善せよと言っている。

雇用プロセスに問題なく、企業秘密の盗用などしていないため、訴訟については心配していない。技術に関する訴訟があると需要家はその企業の製品を使うのを躊躇うため、注文に影響するのを懸念する。

LGの動きは、SKへの注文を邪魔するのが目的ではないかと疑う。

LGが攻撃を続けるなら、需要家の信頼の問題からも、強く対応せざるを得ない。LGが理性をとりもどし、誠意のある競争関係に戻ることを望む。

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