Monsantoの除草剤 Roundup により癌になったとして夫婦が訴えたカリフォルニア州での裁判で、陪審員は5月13日、Bayerに対し損害賠償として55百万ドル、懲罰的賠償として1人当たり10億ドル、総額20億55百万ドルの支払いを命じた。 (損害賠償は夫に18百万ドル、妻に37百万ドル)
付記 Bayerは6月19日、「陪審の判断は扇動的な、作られた、無関係の証拠に基づく」として裁判長に却下を求めた。
Bayerにとっては、本件は3件目の敗訴となる。米国では約11,000件の訴訟が行われている。
既報の通り、1件目ではカリフォルニアの陪審員が2018年8月10日に、損害賠償として39百万ドル、懲罰的損害賠償として250百万ドルの合計 289百万ドルの賠償評決を下した。
しかし、San Francisco Superior Court は10月23日、損害賠償は39百万ドルのままとし、懲罰的賠償は39百万ドルに大幅減額し、合計 78百万ドルとした。
2件目は米カリフォルニア州地方裁判所の陪審が2019年3月27日、損害賠償5百万ドル、懲罰的賠償75百万ドルの合計 80百万ドルの賠償を命じた。
付記
サンフランシスコの地裁判事は2019年7月16日、25.27百万ドルに減額した。被害に対しては527万ドルを認めたが、懲罰賠償は20百万ドルに減額した。被害に対して15倍もというのは憲法から認められないとした。(最高裁は比率を9:1としている。)
カリフォルニア州の Pilliod 夫妻(70歳代)がともに非ホジキンリンパ腫と診断された。二人はMonsanto が販売を開始した1970年代から自宅でRoundupを使用していた。2人は地裁に訴えた。
陪審員は5週間の審理の後、Monsantoの除草剤が2人の発癌の原因とみなし、原告の弁護士の要求額の2倍の20億ドル以上の賠償を命じた。
原告側弁護士は次のように述べた。
最初の2つの裁判では裁判官は原告側の証拠を厳しく制限した。今回初めて、Roundupが動物や人間に著しい害を与えるのに、Monsantoが金儲けのため科学やメディアや規制当局をごまかしてきた山のような証拠を陪審員に示すことを許された。
Bayer は「陪審員の決定に失望しており、控訴する。世界中の規制当局の間で、この製品が安全に使用することが出来ること、発癌性がないことでコンセンサスがある」と述べた。
付記
California Superior Court(Oakland )判事は7月25日、賠償額を引き下げた。
損害賠償 17 百万ドル←55百万ドル
懲罰的賠償 69百万ドル←20億ドル裁判長は、陪審の懲罰的賠償は過大で憲法違反とした。しかしBayer側の懲罰的賠償全廃の要請を拒否した。
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