令和スペシャル 天皇制について

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平成から令和に移り、新聞もテレビも皇室関係の記事で一杯である。

そのなかで次のブログが気になった。

小林よしのり(2019/5/1) NHKスペシャル「日本人と天皇」を見るべし

昨日のNHKスペシャル『日本人と天皇』を見たか?
この番組は再放送を必ず見た方がいい。
長い天皇の歴史で、側室で生まれた男子が半分もいたのだ。
男系の嫡出子は、ここ400年では、3人しかいないと言っていた。
昭和天皇から、奇跡が続いていたのだ。
奇跡はそろそろ終わるのではないか?

NHKの番組は見ていなかったが、天皇家の歴史を調べてみた。

今の天皇は第126代で、これまで男系が続いている。

126代のなかには、 8代10人の女性天皇がいる。

しかし、母娘の皇位継承はあるが、外部の男性との子供が皇位を継いだ例はなく、男系が継続している。

女性天皇

前任 後任
①33代 推古天皇 29代 欽明天皇の娘 弟の32代 崇峻天皇 兄の30代敏達天皇の孫の34代 舒明天皇
②35代 皇極天皇
③37代 斉明天皇
舒明天皇の弟の娘 34代 舒明天皇の妻 夫の34代舒明天皇 弟の36代 孝徳天皇
弟の36代 孝徳天皇 舒明天皇との息子の38代天智天皇
④41代 持統天皇 38代 天智天皇の娘
40代 天武天皇の妻 夫の40代 天武天皇 40代 天武天皇の孫の42代 文武天皇
⑤43代 元明天皇 38代 天智天皇の娘
41代 持統天皇の妹
天武・持統天皇の息子の草壁皇子の妻 草壁皇子との息子の42代 文武天皇 娘の44代 元正天皇
⑥44代 元正天皇 草壁皇子・元明天皇の娘
42代 文武天皇の姉
母の43代 元明天皇 弟42代 文武天皇の息子の45代 聖武天皇
⑦46代 孝謙天皇
⑧48代 称徳天皇
45代 聖武天皇の娘 父の45代 聖武天皇 40代 天武天皇の孫の47代 淳仁天皇
47代 淳仁天皇 天智天皇の孫の49代 光仁天皇
⑨109代 明正天皇 108代 後水尾天皇の娘* 父 後水尾天皇 弟の110代 後光明天皇
⑩117代 後桜町天皇 115代 桜町天皇の娘 弟の116代 桃園天皇 桃園天皇の息子の118代 後桃園天皇

*明正女帝の母は後水尾天皇の中宮の徳川和子で、徳川家康の孫(徳川秀忠の五女)

  

これまででも、男系継続は容易では無かった時が多い。

現在の天皇家は102代 後花園天皇を祖とするが、101代の称光天皇からは8親等も空いている。称光天皇の前の3世代に後継者がいなかった。

他にも、25代武烈天皇から26代継体天皇へは約200年前の15代応神天皇に遡り、10親等の隔たりがあり、48代称徳天皇から49代光仁天皇へは130年前の34代舒明天皇に遡り、8親等の隔たりがある。

後記のとおり、歴代天皇の家系で、現在残っているのは、天皇家のほかは19世代前(600年前)の102代 後花園天皇(1428-64)の弟の家系のみで、他は全て断絶している。

明治天皇には皇后との間には子が無く、側室との間に男5人、女10人の子が生まれたが、成人男子は大正天皇のみである。男系が 切れる恐れがあった。

男子 女子
皇后 なし なし
葉室光子 第一皇子 死産
橋本夏子 第一皇女 死産
柳原愛子 第二皇子 1歳で夭折
第三皇子(大正天皇)
第二皇女
千草任子 第三、第四皇女
園祥子 第四皇子 1歳で夭折
第五皇子 1歳で夭折
第五~第十皇女

大正天皇には4人の皇子が生まれたが、その3世代後の男子は悠仁親王1人だけである。


これまで男系が長期にわたり維持できた一つの理由に、側室制度があ った。 (それでも上記のように何度も断絶の危機があった。)

126人の天皇のうち、58人が非嫡出子である。 過去400年間で嫡出の天皇は109代の明正天皇(1629-43)を含め4人だが、明正天皇は女性で、男性では124代の昭和天皇、125代の 上皇、126代の現在の天皇の3人のみである。 明正天皇と昭和天皇の間の400年間はゼロ。

明治天皇の生母は孝明天皇の典侍の中山慶子、大正天皇の生母は明治天皇の典侍の柳原愛子である。 大正天皇以降は側室をもたない。

現在の皇室典範(昭和22年法律第3号)においては、天皇および皇族男子の子であっても、施行日以降に出生した非嫡出子は皇族の身分を与えられない。

第六条 嫡出の皇子及び嫡男系嫡出の皇孫は、男を親王、女を内親王とし、---。

明治典範第4条は 「皇子孫ノ皇位ヲ継承スルハ嫡出ヲ先ニス 皇庶子孫ノ皇位ヲ継承スルハ皇嫡子孫皆在ラサルトキニ限ル」と規定。

なお、養子は認められない。

第九条 天皇及び皇族は、養子をすることができない。

嫡出の皇子が天皇となったのは過去400年で昭和天皇、上皇、現在の天皇の3人のみで 、 しかも連続してであり、側室制度が無くなってからである。これは奇跡的である。

今後も継続する保証はない。

NHKスペシャル「日本人と天皇」 で「女系」に反対する急先鋒だった平沼赳夫元衆議院議員にインタビューしている。

(平沼赳夫元議員)
「やっぱり悠仁親王に男の子がたくさん将来お生まれになることが望ましい。」

(ディレクター)
「一般の我々にしても、女の子がずっと生まれるというのはある。天皇家だけ例外があるのかというとそれも・・・」

(平沼、しばらく無言で考えた後で)
「誰も結論は出ないでしょうけどじっと待つしかないな。それを信じながら」


今後の対策として、女性天皇が言われている。

今後の女性天皇はこれまでの女性天皇とは異なる。他に男系の皇族がいなければ、外部の男性との子供が天皇を継ぐこととなり、男系が切れることとなる。

これに対する反対が強い。

小泉内閣の有識者会議が2005年に女性・女系天皇の容認を提唱した。

婚外子除外などに触れ、「一組の夫婦の出生数が2人を下回れば、男系男子は世代を追うごとに減少し続ける」と警告。女性の社会進出も考慮しつつ、「皇位の男系継承を維持することは極めて困難。女性・女系天皇への道を開くことが不可欠だ」と結論付けた。

これに異論を唱えたのが保守派で、当時官房長官だった安倍晋三首相も、その一人。皇籍離脱した旧皇族の皇籍復帰を主唱した。

しかし、 歴代天皇の家系で、現在残っているのは、天皇家のほかは19世代前の102代 後花園天皇(1428-64)の弟の伏見宮貞常親王の家系のみで、他は全て断絶している。

1802年生まれの 伏見宮邦家親王から11宮家が生まれた。現在は5家が断絶、6家が残っている。なお、昭和天皇の香淳皇后は久邇宮家の出身である。

元JOC会長の竹田恒和氏はその一族で、 現在の天皇からは36親等という非常に遠い関係である。


皇室でなければ、19代前(約600年前)の祖先の兄弟の子孫で36親等というのは、赤の他人である。

生物学的には、父親の遺伝子と母親の遺伝子を引き継ぐため、数世代経つと、祖先の遺伝子を持つ可能性は極めて小さい。

これが母系であれば、人体のミトコンドリアは全て母方からの母性遺伝であるため、間違いなく祖先の遺伝子を引き継いでいる。
ミトコンドリアは太古の時代に、酸素呼吸能力を獲得した原核生物が原始真核生物に飛び込み、細胞内共生を始めたとされ(細胞内共生説)、細胞の核のDNAとは全く別のDNAを持つ。

これまでの 皇室の歴史で最も遠いのは、25代武烈天皇から26代継体天皇の約200年で、10親等の隔たりである。36親等というのは余りにも遠い。

民法725条は、6親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族を親族とするとなっており、これ以外は親族ではない

女性だからという理由だけで内親王ではなく、36親等以上も離れた人を後継の天皇とするのを、国民が認めるであろうか。



付記  男系継続はフィクションであるというブログを見付けた。

 池田信夫ブログ 2019/5/3



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