欧州議会選挙で英国の与党と最大野党が敗北

| コメント(0)

 

欧州議会選挙は5月23日~26日に行われた。欧州議会議員は任期が5年。総議席は751で、英国は、本土が70議席、北アイルランドが3議席の合計73議席である。

英国では5月23日に実施され、12選挙区から73人が選ばれる。候補者か、党か、どちらかを投票する。

2019/5/9 英国は欧州議会選挙に参加 

英国では投票率は37%弱であった。

開票の結果は次の通りで、Brexit党が29名で最多数となった。

Brexit Party は元独立党党首のNigel Farage が直前の2019年4月に早期のEUからの離脱を目指し、設立した。

独立党は5年前に24名が当選したが、分裂し、うち14名がBrexit党に移っている。

なお、 国民投票時の英国独立党の党首のNigel Farage は、離脱すればEUへの拠出金週3億5千万ポンドが他の用途に使えると主張した。実際は1億6千万ポンドに過ぎず、投票直後に間違いを認めた。「うそを信じてしまった」と離脱に投票したことを後悔する書き込みが増加し、BREGRET (Britain Regret) という言葉が使われるようになった。

欧州議会選挙は、英国の下院選挙などと異なり、日常生活にはあまり関係がない。特に今回は、異常事態が起こらない限り、10月末には英国はEUから離脱することとなっており、議員としての任期は7月2日から4カ月に過ぎない。
EUとの合意書で、選挙をしなければ10月末でなく5月末に離脱をする必要があるため、やむを得ず選挙をするだけである。誰が議員になっても関係がない。

英国が5/23~26の欧州議会選挙期間中にEUメンバーである場合、英国は欧州議会選挙の義務を持つ。
それにも関わらず欧州議会選挙をしない場合、延期は5月31日に終了する。

元々欧州議会選は「人気投票」に流れる傾向があるが、今回は強硬離脱派の新党 Brexit Party が 猛烈な選挙運動を行い、世論調査で30%の支持を集めていた。

この結果、離脱に賛成か反対かを選ぶ選挙になってしまい、離脱派と残留派が争う保守党と、中途半端な姿勢の労働党には票が入らず、特に保守党は議席でたったの4議席、得票率では1桁の9.1%にとどまった。

逆に、Hard Brexit 主張の2党は得票率 34.9%、EU残留を主張する5党は40.4%を勝ち取った。

EU残留派が40.4%も取ったこの結果は、最終的な方向決定に影響を与える可能性がある。

議席数

今回の得票率

今回 直前 増減 前回当選
独立党 0 3 -3 24 Hard Brexit  34.9% 3.3%
Brexit 29 14 +15 0 31.6%
労働党 10 18 -8 20 最大野党 14.1%
保守党 4 18 -14 19 政権与党 9.1%
緑の党 7 3 +4 3 EU 残留  40.4% 12.1%
スコットランド国民党 3 2 +1 2 3.6%
自由民主党 16 1 +15 1 20.3%
プライドカムリ 1 1 ±0 1 1.0%
Change UK 0 1 -1 0 3.4%
independent 0 6 -6 0
社会民主党 0 1 -1 0
(欠員) 2 -2
本土合計 70 70 ±0 70
Sinn Fein 1 1 ±0 1
民主統一党 1 1 ±0 1
アルスター統一党 0 1 -1 1
Alliance 1 0 ±1 0
合計 73 73 ±0 73


ーーー

メイ首相の辞意表明により、状況が変わった。

保守党の次期党首(与党党首が首相となるため、次期党首は自動的に首相)の選挙の立候補締切日は6月10日となった。

立候補者が3人以上の場合、まずは保守党議員によってこれを2人にまで絞る投票が行われる。既に8人が立候補を表明しており、更に増える可能性がある。

その後、イギリス全土の保守党党員による郵便投票が行われ、夏の議会開会までに結果が発表される。

10月末までの貴重な時間が浪費される。

コメントする

月別 アーカイブ