日本触媒と三洋化成工業は5月29日、対等の精神に基づく両社の経営統合に向けて検討を進めていくことについて基本合意書を締結したと発表した。
今後、相互信頼と対等の精神に則って、経営統合に向けた詳細な検討と協議を進め、2019年12月を目途に、最終契約を締結する。
両社の事業:
日本触媒 三洋化成 基礎化学品 アクリル、EO、吸水性樹脂(SAP) 等 吸水性樹脂(SAP)、PPG等 機能化学品 電子情報材料等 潤滑油添加剤、永久帯電防止剤等 新規事業 高機能なリチウムイオン電池電解質、
化粧品素材など新型リチウムイオン電池
化粧品素材など特徴 触媒・高分子・有機合成技術をコア
C2酸化でEO、C3酸化でPO、C4酸化で直酸法MMA(住友化学とのJVで、のち同社に事業譲渡)界面活性制御技術をコア技術とし、約3,000種類に及ぶ高機能なパフォーマンスケミカル製品を開発 問題点 ユーザーニーズを意識した新規事業の創出が課題 主要原材料を日本触媒をはじめとした外部からの調達に依存
両社の主要株主:
日本触媒 三洋化成 住友化学 6.84% 豊田通商 19.38% 東レ 17.30% JXTGホールディングス 5.33% JXTGホールディングス 4.80% 全国共済農業協同組合連合会 4.03% 三洋化成 3.17% 日本触媒 5.00%
問題意識:
国内では化学品の内需減少→化学メーカー同士の熾烈な競争
海外では、新興国メーカーが台頭 、欧米系の巨大化学メーカーとの規模の格差が拡大両社の主力事業の1つ の高吸水性樹脂(SAP)では、新興国での新規参入者による供給過剰の状況等、事業環境の変化に伴う収益性の低下
結論:経営統合により、両社の強みを生かし、経営上の課題を解決した上で、相乗効果を生み出す。
統合方法:統合持株会社を設立する共同株式移転を採用
両社が共同株式移転を行い、両社の完全親会社となる統合持株会社を設立し、両社を統合持株会社の完全子会社とする。
両社の間接部門を統合持株会社に統合する 。本経営統合の効力発生の2年後を目途に、両社の合併を実行する 。
統合持株会社の当初の代表取締役は、代表取締役会長は三洋化成、代表取締役社長は日本触媒の社長が就任する。
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統合により、アクリル酸と吸水性樹脂(SAP)の能力は次の通りとなる。(千トン)
アクリル酸 |
SAP |
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(日触) | (日触) | (三洋) | (合計) | ||
日本 | 姫路 | 540 | 370 | 480 | |
名古屋 | 110 | ||||
中国 | 張家港 | 30 | 260 | ||
南通 | 230 | ||||
インドネシア | 140(+100) | 90 | 90 | ||
シンガポール | 40 | ||||
マレーシア | 80 | 80 | |||
ベルギー | 100 | 160 | 160 | ||
米国 | テキサス | 60 | 60 | 60 | |
合計 | 880(+100) | 710 | 420 | 1,130 |
三洋化成は当初、SAP事業を三菱化学とのJVで行っていた。2013年に三菱化学は持株全てを譲渡し、合弁事業を解消すると発表、三洋化成はこれを豊田通商とのJVとした。
当初 2013年以降 JV名 サンダイヤポリマー SDPグローバル 三洋化成 60% 70% 三菱化学 40% ー 豊田通商 ー 30%
2013/4/1 三菱化学、高吸水性樹脂事業から撤退
統合により、三洋の姫路のSAPの原料アクリル酸は当然、自社(日触姫路)から供給することになると思われる。
統合によるシナジーその他は 記者会見資料を参照。
次項にSAPの能力対比
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