千代田化工建設は6月6日、イタリアSaipem S.p.A.及び 米国McDermott International Inc.と 共同で、モザンビーク共和国におけるLNG計画(Anadarkoが主導するモザンビーク・オフショア・エリア1 の共同事業者が計画)のEPC(設計・調達・建設工事) 業務を受注したと発表した。
千代田化工は米国のCameron LNGなどで巨額の赤字を計上しており、本年2月に受注した米国のGolden Pass LNG輸出基地の設計・調達・建設業務では千代田の負うスコープは基本的に設計と調達に限定した。
今回も、Saipem社およびMcDermott社が実施する設計のレビューを主とする技術的なサポート業務に限っている。
付記 三井物産は6月19日、最終投資決断を行ったと発表した。
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モザンビークとタンザニアの国境を流れるRovuma川の河口と沖合に世界最大規模のガス田が発見され、開発が始まった。
モザンビークの海底ガス田の開発は6区に分けて行われている。
全体図 | Area 1 |
三井物産は2008年2月、米国大手独立系石油・ガス開発会社 Anadarko Petroleumがモザンビークに保有する石油・天然ガス探鉱鉱区(Area 1)の権益の一部を取得することで同社と合意した。
権益保有者は以下の通りであったが、その後異動があった。
当初 | 当時 | 現在 | ||
Anadarko (オペレーター) | 76.5% | 36.5% | 26.5% | ONGCに 10% 譲渡 |
Mitsui E&P | ー | 20% | 20% | |
モザンビーク国営石油会社 ENH Rovuma Área |
15% | 15% | 15% | |
ONGC Videsh Oil and Natural Gas Corp (インド) |
10% (+6%) |
Anadarkoより | ||
(Beas Rovuma) | ||||
Beas Rovuma Energy Mozambique (ONGC and state-run Oil India ) |
10% | Videocon より (ONGC60%、Oil India 40%) |
||
Oil India(インド) | (4%) | (Beas Rovuma) | ||
Videocon (インド) | 10% | ー | Beas Rovumaへ | |
BPRL Ventures Mozambique(インド)Bharat PetroResources Limited (BPRL) | ー | 10% | 10% | |
Artumas Group(現 Wentworth Resources) | 8.5% | ー | ||
PTTEP Mozambique Area 1 PTT Exploration & Production (タイ) |
ー | 8.5% | 8.5% |
この鉱区の最大の権益を持ち、オペレーターを務めるAnadarko Petroleumは2012年12月、隣接するArea 4のオペレーターのEni との間で共同開発の覚書を締結したと発表した。両グループは天然ガスの開発は連系はしつつも個別に行なうが、LNG生産設備建設は共同で行う。
概要 Area 1 海底天然ガス田 推定可採資源量
17~30兆立方フィート超LNGプラント LNG年産2,000万トン
当初LNG年産500万トン×2系列
追加2系列
(Area 4との合計)
生産開始 2018年(予定)2013/1/10 モザンビークの天然ガス開発
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当初、2018年にも生産を開始する予定であったLNGプラントはその後も着工されていなかった。
このたび、Anadarkoは着工を決定した。
Anadarkoは5月8日 次の発表を行った。
資金の目途がつき、販売先が確保され、その他も順調である。モザンビーク大統領とAnadarkoのCEOは、 Mozambique LNG project の最終投資決定を6月18日に発表することとなった。
今回千代田化工等が受託した内容は、LNG設備 2系列 合計能力1288万トンと、用役、インフラ設備となっている。
当初計画では500万トンx2系列とArea 4 分の追加2系列となっていた。今回は、Area 4 分は切り離したとみられる。更に1系列分の能力を500万トンから644万トンに増やしている。
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1つ目の売買契約は、2018年6月の基本合意に基づく東京ガスと英国ガス大手 Centricaの共同調達で、LNG生産開始から2040年初頭まで年間260万トンのLNGを供給する。
2つ目の売買契約は、Shellの子会社との間で締結された。13年間にわたり、年間200万トンのLNGが売買されることになる
今回の発表に先立ち、2月1日に、中国海洋石油集団(CNOOC)と、13年間にわたり年間150万トンのLNGを供給する契約を締結している。
2018年2月にはフランス電力会社EDFと年間120万トンを、2018年10月に東北電力とも年間28万トンの売買契約を締結している。
LNG長期契約は年間750万トンに積み上がり、残りのLNG売買契約も近い将来に見込まれているとしている。
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