経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は5月30日、同社に対する支援策が確定したことを発表した。
同社は4月12日、台湾の電子部品メーカーなど3つのグループで構成する台中連合から800億円の金融支援を受けると発表した。
台中連合のSuwa Investment Holdings, LLCと 、800億円の出資契約を締結する。(出資比率は台湾紙の情報 6/19 JDI)
出資比率 台湾 TPK Holding (宸鴻集団) 41.8% 250億円 31.25% タッチパネル大手 Cosgrove Global 23.6% 140億円 17.50% 蔡一族の富邦金控が運用・管理する投資会社 中国 Harvest Tech Investment Management
(嘉実基金管理)34.5% 410億円 51.25% 中国最大の資産運用会社 Harvestグループ のプライベートエクイティ投資を行う運用会社 普通株式:420億円
新株予約権付社債:180億円+200億円 合計 380億円(うち最後の200億円は資金需要により判断)
総計:800億円
2019/4/15 ジャパンディスプレイ、台湾・中国のグループから金融支援800億円受け入れ
同社は5月15日、2019年3月期の決算を発表したが、最終損益は1,094億円の赤字となり、5年連続赤字となった。この結果、資本勘定は債務超過寸前となった。
2019/5/17 ジャパンディスプレイ、5年連続赤字
当初予定では6月18日のJDIの定時株主総会で最終的に承認を受ける予定だったが、台中連合が金融支援に必要な機関決定を延期すると相次ぎ表明しており、間に会わず、改めて臨時総会を開く見通し 。
JDIの業績悪化や、米国と中国の紛争による今後の見通しが不透明なことから、仮に台中連合からの資本注入が出来なくなれば、資金繰りが苦しくなると見られた。
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JDIでは台中連合の金融支援を確定させるべく、関係各社に協力を要請し、下記の協力を得た。
1) Apple社(最大需要家で、その受注が死命を決する。多額の前受け金を受領しており、返済義務が重荷)
当面の財務強化に対する協力として、前受金に対する債権相殺金額を、2年間にわたり 、従来の合意条件に対して半額繰り延べ 。
当面の発注の増量についても真摯に協議する。
2) 現在の筆頭株主のINCJ(旧 産業革新機構)
750億円の優先株の引き受けで Debt-to-equity を行う 。
770億円の長期貸付で既存の債務(INCJが債務保証)を返済する。
以上について、内訳を変更(総額は変わらず、優先株を1020億円に、長期貸付を500億円に)4月19日に200億円のブリッジローン
当初案では今後も負債で残る予定であった上記ブリッジローン(200億円)全てとINCJからの劣後特約付貸付(300億円)のうちの247億円について、JDIが持つ有機ELディスプレイのJOLEDの株式15%全てで代物弁済する。
この結果、INCJからの長期貸付500億円が追加されるが、これまでの同社の負債合計2020億円のうち、劣後特約付貸付の残り53億円を除く全てが無くなる。
以上の協力を得たのを受け、台中連合は総額800億円の支援について、6月14日に各社の内部機関決定を行う旨、連絡してきた。
JDIの定時株主総会(6月18日)での承認は間に合わないが、年内に行う臨時株主総会で承認を得て、実行する。
変更後の支援の概要は次の通り。
① 当初案では今後も残る予定のINCJからの債務447億円をJOLED株式で代物返済
② INCJの支援1520億円のうち、長期貸付金を270億円減らし、優先株を270億円増やす。
以上により、負債残は1270億円から553億円に717億円減り、資本増強は最終1550億円から1820億円に270億円増える。
(JOLED持株が無くなる。)
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とりあえず、台中連合が近く内部機関決定を行うことを決めたが、まだ安心できない。まだ機関決定はしておらず、下記の懸念がある。
・米中摩擦の激化のなか、中国の嘉実基金管理自身がAppleへの供給企業に出資するかどうか。3社社内に反対が出ないか。
・米中摩擦が激化するなか、対米外国投資委員会(CFIUS)がApple への供給元のJDIに中国企業の嘉実基金管理が参加するのを問題にするかどうか。
逆に中国政府がそのJDIへの嘉実基金管理の出資を認めるか。
・今後のAppleからの発注の見通し、JDIの損益見通しを元に、台中連合が引き続き支援を続けるか。
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