癌ゲノム医療に保険適用決定

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厚生労働省は5月29日、中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)の総会を開き、癌患者の遺伝情報から最適な治療薬を選ぶ「 癌ゲノム医療」への保険適用を初めて決めた。

癌ゲノム医療とは、癌の組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ(癌遺伝子パネル検査)、遺伝子変異を明らかにすることにより、一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療。

イレッサは、当初、全ての手術不能非小細胞肺癌を対象に保険適用が承認された。
その後、
EGFR遺伝子の異常が有る非小細胞肺癌のみに有効であることが証明され、効能効果が変更された。


今回保険診療の対象になるのは「癌遺伝子パネル検査」で、中外製薬とシスメックスがそれぞれ保険適用の希望を申請していた。

中外製薬 FoundationOne CDx 癌ゲノムプロファイル

固形癌患者の腫瘍組織検体から抽出したゲノムDNAの遺伝子変異情報を解析するプログラム

主たる機能は、包括的なゲノムプロファイルの提供、すなわち、324のがん関連遺伝子の変異等(塩基置換、挿入/欠失、コピー数異常、再編成)の検出結果、マイクロサテライト不安定性の判定結果、及びTumor Mutational Burdenスコアの情報提供にある。

シスメックス OncoGuide NCC オンコパネルシステム (国立癌研究センターとシスメックスが開発)

固形がん患者由来の腫瘍組織及び同一患者由来の非腫瘍細胞成分より抽出されたゲノムDNA を検体として用い、解析プログラムにより、腫瘍組織由来の塩基配列と非腫瘍細胞成分由来の塩基配列とのペア解析を行うことにより、遺伝子異常(変異: SNV、InDel、増幅: CNA、融合: Fusion)の一括検出、及び合計変異出現率(TMB:腫瘍変異負荷)の算出を行なうことで、腫瘍組織の包括的なゲノムプロファイルを取得する。

癌治療では癌の遺伝子変異をもとに薬を選ぶ。これまでは一度の検査で少数の遺伝子しか調べられなかったが、 今回のものはいずれも一度に100種類以上の遺伝子を調べることができる。最適な薬が早く見つかる可能性が高くなる。

厚労省が昨年12月に国内販売を承認した。

薬を選ぶまでの医療費は56万円だが、保険適用で患者の自己負担は1割か3割で済む。高額療養費制度を利用すれば、負担はさらに抑えられる。

対象は固形癌(血液癌以外の癌)のうち、手術や抗癌剤での治療が効かなかった人や、治療法がない希少癌や小児癌などの患者で、ピーク時には年に計約2万6000人が利用し、販売額は年計150億円規模と見込まれる。




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