英国 保守党党首選挙-2

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次期英首相を選ぶ保守党党首選は、ジョンソン前外相とハント外相が決選投票に駒を進めた。

議員による選挙で、最低 8人の推薦を受けて立候補した10人のうち得票数が17票未満の候補がふるい落とされ、2回目は得票33未満が落とされる。その後はそれぞれ最下位を落とし、最終的には候補を2人に絞り込 む。

その後、党員の郵便による決選投票で7月22日の週に新党首を選出する。

付記 新党首は7月23日に発表、首相就任は7月24日午後。

議員の投票結果は次の通り。(Fは女性)

候補 6/13 6/18 6/19 6/20 決戦
Boris Johnson 前外相 メイ首相の離脱協定に反発して外相を辞任 114 126 143 157 160
Jeremy Hunt 外相 国民投票では残留派だったが、現在はEU離脱派 43 46 54 61 77
Michael Gove 環境相 メイ首相の離脱協定を支持 37 41 51 59 落選 75
Sajid Javid 内務相 残留派 → 欧州懐疑派 23 33 38 落選 34
Rory Stewart 国際開発相 残留派→ Brexitを受け入れ 19 37

落選

27
Dominic Raab Brexit担当相 国民投票の前からEUからの離脱を訴え 27

落選

30
Matt Hancock 保健相 メイ首相の離脱協定を支持 20

撤退

Andrea Leadsom (F) 前下院院内総務 EU離脱派の中心的存在、政府方針に反対し辞職


11
Mark Harper 元院内幹事長 残留→ メイ首相の離脱協定支持 10
Esther McVey (F) 前雇用・年金相 離脱派。メイ首相の離脱協定に反発し辞職 9


ジョンソン氏とハント氏は全国16万人の保守党員に向け、向こう1カ月かけて選挙活動を展開する。郵送による投票で次期党首を選ぶ。

保守党サイトによる党員への世論調査では62%がジョンソン氏を支持。ハント氏への支持は11%にとどまる。情勢に大きな変化がなければ、強硬離脱派のジョンソン首相が誕生する確率が高くなっている。

ジョンソン氏は10月31日の期限までに離脱を果たす決意をこれまでに示しており、離脱期限を再度遅らせるくらいなら合意なしの離脱を望むと言明してきた。
ただ、ここ数日は言い回しを軟化させ、18日の討論では10月末での離脱を保証することを拒んだ。


ハント氏は秩序立った離脱のためなら離脱期限の延期もいとわない考えだが、EU離脱の撤回よりは合意なしの離脱を選ぶと言明している。

ーーー

党首(首相)が決まってから、離脱 の具体案を決定し、(当然メイ首相がEUと協議して決めた離脱協定案とは異なるため、)新たにEUと協議する必要がある。
(EUは協定案が最終であり、修正には応じないとしている。)

そのうえで、下院で承認を得る必要があるが、党内の反対派と野党の反対で簡単に通るとは思えない。

仮に合意なき離脱となれば、EUは監視が少しでも欠けたら欧州の単一市場に大きな穴が開くことを懸念しており、アイルランド共和国と英国の北アイルランドとの国境を越える貿易に関税をかけ、通関手続きや食品・動物の検疫を実施するために対策が必要としている。

しかし、再度国境管理が行われると、1998年4月10日のベルファスト合意(聖金曜日協定)で収拾した北アイルランド紛争の再発が懸念される。

このため、なんらかの対策をEUと合意する必要がある。

2019/4/6 合意なき離脱の場合のアイルランドの扱い 

離脱期限の10月末が近づくなか、5月24日のメイ首相の党首辞任(6月7日付)の表明後、2か月もかけて次期党首(=首相)を選ぶというのはどういうことだろうか。

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